トランプ氏、WTOは米国を「利用している」と批判

ドナルド・トランプ米大統領は最近、世界貿易機関WTO)に厳しい言葉を浴びせ、WTOは「中国や他の国々の利益のために米国からお金と仕事を吸い上げている」と非難した。

WTOの通商専門家3人からなる紛争処理小委員会(パネル)はこのほど、米国の関税貿易規則に違反していると判断した。判断の理由として、関税は中国だけに適用され、米国が合意した最高税率を上回っていたこと、そして関税が課された時、米国はなぜその措置が正当な例外であるのかを十分に説明しなかったことが挙げられた。

トランプ氏は9月16日の記者会見で記者の質問に答えた。中国に課した2000億ドルの関税は規則違反だというWTOの判断を受けて、米国は引き続きWTOに留まるべきかとの質問に対して、大統領は、WTOは「今まで全然私たちのためにはならなかった」と答えた

「私が思うに、WTOは中国やその他の国々の利益のため、米国からお金と仕事を吸い上げるために作られた。最初からそのために作られたのか、後からそうなったのかは別として」「これは米国を利用する方法だ」と述べた。また、WTOの裁定を分析し、次のステップを検討していると付け加えた。

米国政府は、2年前にトランプ政権が2000億ドルを超える中国製品に課した関税は、中国が米国企業に技術や知的財産の移転を強制しているため、正当化されるものだと述べた。

米国通商代表のロバート・ライトハイザー氏は判決後の声明で、「このパネルのレポートは、トランプ政権がこの4年間主張してきたこと、すなわちWTOは中国による技術に関する違法行為を全く阻止できないことを裏付けている」と述べた。

トランプ氏が以前から「壊れた」機関と呼んでいたWTOは、多国間のルールと機関を通じて国際貿易紛争を解決するために作られた。ライトハイザー氏らは、WTOは米国に不利なバイアスがあり、加盟国の一部、特に中国は、自分はルールを無視しておきながら、他の加盟国と貿易紛争を起こすことで、WTOを不当に利用していると主張している。

2001年にWTOに加盟した中国の行動を批判する人たちは、中国は米国の消費者への自由なアクセスから利益を得ているが、外国との競争に対しては自国の市場を選択的に閉鎖し、強制的に米国企業を中国の国営企業との合弁事業に参入させ、米国の主要技術へのアクセスを確保する一方で、反対意見の抑圧や人権の侵害などの従来の行動を続けていると話す。

「約束された中国の自由化は起こらなかった」と、大紀元の寄稿者であり、ミシシッピ大学の法律と政治学の教授であるRonald J.Rychlak氏は論説記事の中で書いている。「多くの欧米と中国の知識人は、今日の中国は10年前に比べて自由度が低下していると指摘している。言論の自由、意見の相違、宗教はすべて政権によって抑圧された」

トランプ氏は、中国の不公正な貿易慣行は「米国を略奪してきた」と述べた。

トランプ氏は5月29日の発言で、「中国の違法行為のパターンはよく知られている」とし、「彼らは何十年もの間、前例のない規模で米国を略奪してきた。特に前政権時代には、中国との取引で年間数千億ドルが失われた。中国は私たちの工場を襲撃し、仕事を奪い、産業を破壊し、知的財産を盗み、WTOでの約束に違反した」と述べた。

中国が「発展途上国」としてWTOに加盟し、世界第2位の経済大国となった今でも、関税引き下げの実施期間の延長など、特権を与えられていることについて言及したトランプ氏は、「さらに悪いことに、彼らは発展途上国と見なされていて米国を含む他の国にはないさまざまな恩恵を受けている」と述べた。

トランプ氏は米中貿易関係の再調整を主導している。2018年、中国の前年比対米輸出の全額相当に及ぶ5000億ドルの中国製品を標的にする関税を課すことを明らかにしている。

(大紀元日本語ウェブ)

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