北京のネットカフェで、モニターを見つめる中国の大学生たち(GettyImages)

海外留学の帰国者増加で就職難に拍車 大卒平均月給は11万円=中国

中国経済は悪化の一途をたどり、失業率は上昇傾向にある。今年、80万人もの海外留学生が就職のために中国に帰国予定で、今年の大学新卒者数874万人と就職先を争う。雇用情勢はさらに厳しくなるとみられる。

サウスチャイナ・モーニング・ポストは9月21日、就職サイトUniCareerの情報を引用し、2020年に帰国して就職する中国人留学生の数が70%増加すると伝えた。

それによると、調査対象となった帰国予定者のうち、約28.6%がアメリカ、26.3%がイギリス、13.2%がオーストラリアに留学していた。彼らの6割以上が修士号を持ち、博士号を持つ者もいる。

近年、海外で卒業した後に帰国を選択する中国人学生の数は、2011年の18万人から2015年には40万人、2018年には51万人と大幅に増加している。

これまでの調査によると、海外留学帰国組は、わずか約5%の人が30万元(約450万円)以上の年収を得ており、40%近くは年収10万元(約150万円)未満だという。

オンライン就職情報サイト58.comが最近発表した、2020年の大卒者の就職状況によると、中国国内の大卒者の平均月給は7839元 (約11万7000円)。

近年、中国の大学の卒業生数は増え続け、今年の大学卒業予定者数は874万人と過去最高となった。しかし、求人需要は低下し就職率も悪く、加えて帰国組とともに就職先を争うことになるため、大卒生の就職環境は非常に厳しい状況にある。

オーストラリアの中国人学者・李元華氏は、中国経済全体は急速に衰退しており、賃金の高い外国企業が相次ぎ中国から撤退していることが就職環境の悪化の一因だと指摘する。

「帰国しても就職難に見舞われるなら、海外にいる中国人は帰国を見送るだろう」

米サウスカロライナ大学エイケン・ビジネス・スクール教授の謝田氏は大紀元の取材に対して、中国共産党政権は「雇用安定」に重きを置くようになったという。たとえば、大学生の就職時期を遅らせるため、修士課程の学生の採用を拡大したり、新卒者の軍入隊を奨励している。さらに、大卒生に対して農村部での就職・創業を促している。「文革時代の知識青年が農村に行かされたのを彷彿とさせる」と謝田氏は述べた。

中国の金融学者である賀江兵氏は、就職環境の悪化にはさまざまな要因が重なっていると指摘する。「流行感染症の発生や、水害、米中貿易戦争などが起きた。米国の制裁で、中国のハイテク企業は大きなダメージを受けて、多くの外国企業は移転した」とラジオ・フリー・アジアの取材に述べた。

7月末までに中国から移転するとして補助金を申請した日本企業は1700社に達する。加えて、国内資本の衰退もあり、中小企業の雇用はさらに減った。

(翻訳編集・佐渡道世)

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