四川省重慶市の元副市長の王立軍氏(Getty Images)

米国務省、ヒラリー氏の電子メールを公開 王立軍氏亡命巡るオバマ前政権の対応も

米国務省は10月10日、トランプ大統領の指示を受けて、同ウェブサイト上で、ヒラリー・クリントン元国務長官が削除した3万件余りの私的電子メールを公開した。この中で、2012年2月、重慶市の王立軍・副市長(当時)による米国総領事館駆け込み事件に関する内容があった。

米国務省は10月10日、ヒラリー・クリントン元国務長官が削除した電子メールを公開した(米国務省HPよりスクリーンショット)

王立軍氏は、 四川省重慶市元トップ薄熙来の側近で、薄が主導したマフィア取り締まり運動で主要責任者を務めた。2012年2月6日、王氏は突然、同省成都市にある米国総領事館に駆け込んだ。一部の報道では、当時、女装した王氏は米国総領事館に汚職、殺人、権力闘争、クーデターなど中国共産党内の機密情報の資料を提出した。王氏の亡命を知った薄熙来は同氏の身柄を奪還するため、武装警察を派遣し米国総領事館を囲んだという。

当時、米国の駐中国大使ゲイリー・フェイ・ロック氏は、米国務省に報告し、王立軍氏の亡命を認めるよう要請した。しかし、2月7日、オバマ政権から亡命を許可されなかった王氏は米国総領事館から出て、中国国家安全部(省)の職員に連行された。その後、中国当局は王立軍氏、薄熙来、薄熙来の妻などを次々と拘束し、英国人実業家を殺害した殺人罪や収賄罪、職権乱用罪などで有罪判決を言い渡した。

米国務省が公開したヒラリー・クリントン氏の電子メールによると、オバマ政権が王氏の亡命を拒否した理由は、2012年11月に中国最高指導者に就任する予定の習近平氏との間で「良好な関係を築きたい」からだという。同年2月14日、訪米した習近平氏は、ホワイトハウスでオバマ前大統領と会談した。

クリントン氏の電子メールは、オバマ前大統領が「習近平氏の来訪を重要視していた」「中国側が米国と良好な関係を築こうとしている。中国(国民)がより開放的な新しい指導部を迎えようとしている中、(王立軍氏の亡命で)苦しい立場に陥っている中国側から短期的な利益を得るのは賢明ではない」とした。メールによれば、米国務省は自ら中国指導部に連絡し、王氏の亡命について話した。

クリントン氏の電子メールによると、当時オバマ政権は、王氏の米国総領事館駆け込みを中国の内政問題として捉えていたという。習近平氏が最高指導者となれば、中国当局がさらに市場を開放する可能性があるため、緊密な関係を作らなければならないと判断した。

米ニュースサイト「ワシントン・フリー・ビーコン」は2012年2月14日、米政府高官の話を引用し、王立軍氏が米国総領事館に駆け込んだ後、薄熙来や周永康が習近平氏に対してクーデターを企んでいることを米側に提供したと報道した。一方、当時、大紀元が独自に入手した情報では、王氏は、中国当局が伝統気功グループ、法輪功学習者を対象にした強制臓器収奪に関する情報も提供した。

(翻訳編集・張哲)

関連記事
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
メディアのスクープ話が世の中を動かす。特に最近は「文春砲」など週刊誌メディアの元気が良い。同時に報道のありかたが問われている。国が国民の幸福を奪うことがあったら、ある程度、国家権力の作ったルールを逸脱する「反社会性」を持ち、戦わなければいけない時がある。記者は反社会的な面を持つ職業で、メディアは反社会性を持つ企業なのである。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]
上川陽子外務大臣は、パナマ在留邦人及び進出日系企業関係者と昼食会を実施した。日・パナマ間の経済分野における協力の可能性や課題、教育などについて、意見交換を行った。
2月23日午後、上川陽子外務大臣はパナマ運河視察を行った。日本が主要利用国であるパナマ運河の安全かつ安定的な利用環境確保に向けた連携を維持すると表明