【紀元曙光】2020年12月15日

正月の飾り物が、たしか11月中から売られている。

▼シールを見ると、やっぱり「Made in China」。今更おどろきはしないし、そうした日常のなかに、今の日本人の生活があることを否定はできない。安くても、とりあえず使えればよいのである。安物を承知で買えば、寿命が短くても、そういうものだと思うだけで済む。

▼ただ、と愚痴をこぼしたくもなる。正月飾りといえば、ある種の縁起物であろう。宗教的精神とまではいかないにせよ、日本人が古来より守ってきた慣習のなかで新年を迎える特別な意味の物品であったはずだ。原材料は安いものだが、そこには作り手と買い手の「こころ」が入るため、それなりの値段になる。

▼他の地方はどうだか存じないが、50年前の東京では、年末に近いこの時期、赤スジ半纏の粋な鳶職の頭が副業でつくった正月飾りや門松を、街角の定位置に小屋掛けして売った。筆者が育った下町の、見よい風景だった。

▼それが今では、税込み110円からの中国製である。正月飾りだけではない。日本の職人がつくった高級品は別として、安価な量産品は総じて、剣道具も、柔道着も、茶道の茶筅までも中国製なのだ。モノを売り買いするビジネスに文句をつけているのではない。不当な強制労働の産物が含まれているとすれば許し難いが、そのことは本稿では触れないでおく。

▼ただし、これだけは許さない。米国向けに大量発送されたという、メイド・イン・チャイナの「投票用紙」だ。窓を目隠しされた集計所に持ち込まれ、不正に計上されたとすれば、もはや選挙ではない。

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