2021年1月12日、米ワシントンのホワイトハウス敷地内を移動するトランプ大統領(Drew Angerer/Getty Images)

トランプ米大統領、中国軍事企業による米投資をさらに厳格化

米当局は11月11日までに、国防総省がブラックリストに登録した中国の軍事企業の有価証券を完全に売却することを米国の投資家に義務付ける。トランプ米大統領は1月13日に執行命令に署名した。残り1週間足らずとなったトランプ政権は、中国共産党資本による米市場へのアクセスをさらに厳格化させた。

最新の行政命令は、2020年11月に発表された大統領令13959号「中国共産党の軍事企業に資金を提供する証券投資からの脅威への対処」の範囲を拡大したもの。

2021年1月の行政命令には、1月11日から11月11日まで、「中国軍企業の所有する有価証券は譲渡のみ取引を行うことが認められる」としている。また、11月11日以降の対象企業の証券取引は禁止されると明記している。​

昨年11月の執行命令は、国防総省に中国軍の所有または管理下にある企業リストを作成し、株式売買を禁止する国防権限法1999の執行を後押しするもの。国防総省は2020年、この執行命令を遂行し、中国海洋石油集団(CNOOC)や中国半導体ファウンドリー大手・中芯国際集成電路製造(SMIC)など4社を新たに追加し、計35社をブラックリスト入りさせた。これを受けて、ナスダック、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスなどは、リスト入りした企業を株価指数から除外した。

米国議会の超党派の米中経済・安全保障問題検討委員会(USCC)の2020年版報告書によれば、米国の証券取引所に上場している中国企業は217社となっている。 

トランプ政権は昨年11月の大統領選以降も、対中強硬姿勢を貫いてきた。1月7日には、ニューヨーク証券取引所は中国の通信大手3社の上場廃止を改めて決定した。

米国商務省産業安全保障局(BIS)は昨年12月18日、中国の60企業と組織を輸出管理規則に基づきエンティティー・リストに追加したと発表、即日施行された。追加理由はさまざまで、軍民融合政策のもとで中国軍を支援、DNA収集やハイテク監視など人権侵害への加担、米企業からの機密窃取、兵器開発など。このリストには、商業用ドローンの最大手DJI、AIや宇宙開発企業の光啓技術、軍事開発に関わる大学「国防7大学」の3校を追加した。これにより7大学すべてがエンティティリストに載った。

米国エネルギー省は同日、重要な軍事施設に供給する公益の電力会社が中国機器を調達することを禁止した。これは、20年5月1日に発出された、国家安全保障に不可欠な電力インフラを守るための「米国の基幹電力システムの外国敵対者などからの保護」に関する大統領令に基づく。同省は、中国やロシアなどの企業が、変圧器やコンデンサーなどの電力設備に、悪質なソフトを密かに導入し、電力供給の安定性に悪影響を及ぼすリスクがあると見ていた。

全米の通信事業の規制・監督を行う米連邦通信委員会(FCC)は12月11日、ファーウェイ製通信機器を地方通信会社から撤去する命令と、チャイナテレコムの事業免許取消に向けた手続きを開始する決定を発表した。

11月、トランプ大統領は上下院の各議長に公開書簡を宛て、中国共産党からの脅威に応じて国家緊急事態を宣言する行政命令を発表した。大統領は声明で、中国企業が「表向きは民間企業でありながら、中国の軍事・諜報・安全保障装置を直接支援し、その開発と近代化を支援している」と指摘し、米市場に上場することで、米投資家が知らない間に中国軍事企業を支えていると書いている。

(翻訳編集・佐渡道世)

 

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