【紀元曙光】2021年2月4日
英陸軍の退役軍人であるトム・ムーアさんが2日、逝去された。100歳。
▼多くのメディアが伝えているように、ムーアさんはロックダウン(都市封鎖)のさなかであった昨年4月16日、自ら立てた「自宅の庭を100回往復する」という誓いを達成。歩行補助具を使いながら、一歩ずつ、前へ歩む。自身の誕生日である4月30日の前に成した「快挙」であった。
▼ムーアさんが呼びかけた医療募金へ集まった寄付金は、最終的に40億円を超える額になったという。欧州で、コロナ関連死の最も多い国である英国で、国民の心が一つになったことが、その驚異的な金額からも想像できる。誰がやってもできることではないはずだ。やはりムーアさんの経歴と魅力あるお人柄によるのだろう。
▼お見事な大往生を遂げたムーア翁に学ぶべきことは何かと、ふと考えた。とっくに人生の後半に入った筆者などは、単純に「長生きしよう」と思った。老いるのは自然であるし、死ぬ時期も自分では決められないが、年齢相応の健康は維持していきたい。周囲を微笑ませるユーモアもほしい。さらに100歳でも自分で歩けるなら、なんとすばらしいことだろう。
▼生まれたばかりの赤ちゃんは、そこに眠っているだけで周囲の人々を幸せにする。自分の人生が終わるとき、今一度、そうした無為の姿に回帰できるならば、人の役に立ちたいという我欲さえも超えて、天高く昇華できるのではないか。
▼サー・トム・ムーアと同じことができるわけもない。ただ、コロナに負けなかった老兵の最後の戦いぶりに、爽快な青空を見せていただいた。
関連記事
内なる不満を見つめ、愛を与える方法を通じて、心の癒しと新たな可能性を見出すヒントをご紹介します。
最新研究が脳損傷患者の意識の可能性を示し、医療や家族の対応に新たな光を当てます。
GoogleのAI「Gemini」が大学院生に不適切な発言をし、AI技術のリスクが改めて問題視された。企業の責任が問われる中、AIの安全性や倫理が注目されている。類似の事例も増え、技術の普及とリスクのバランスが課題となっている
健康な心血管を保つための食事、指圧、運動の実践方法を解説。心臓病予防のヒントが満載です!
専門医が語る乳がんリスクの主な要因と予防のポイントを解説。生活習慣の見直しで健康を守りましょう。