<オピニオン> 新型コロナウイルスと「科学のない年」
2020年と2021年は「科学のない年」である。あるいは「見せかけの科学の年」または「政治的な科学の年」と呼べるかもしれない。
アメリカの製薬会社は競ってワクチンを開発した。しかし、それらに長期的な効果があるのか、またワクチン接種は本当に必要なのか、我々が知る術はない。
ここで読者に告白しよう。私自身はファイザー社製のワクチンを2回とも接種した。その主な理由は、まもなくアメリカ政府が旅行を希望する国民全員にワクチン接種を強制すると思っているからだ。
このパンデミックは政府による介入の有無に関わらず、他国と同じように進行していた可能性がある。もしくは、これは初めから非常に誇張されていたかもしれない。
2020年のアメリカ人の死者数は例年より際立って多いというわけではなかった。厳しいロックダウンを敷く国や州が、そうではない地域と比べてあまり感染状況が変わらないのはなぜなのか。これらの疑問に答えられる人はいない。
また、マスクやヒドロキシクロロキン(抗マラリア薬)、イベルメクチン(経口駆虫薬)の有効性については、専門家の間で意見が分かれていた。見解の過ちを認めて謝罪する人もいたが、私たちが気づかないとでも思ったのか、完全に見解を変えた専門家もいた。
武漢ウイルス研究所を取り巻く謎も残っている。アンソニー・ファウチ博士が同研究所に関与していた事や、中国共産党のプロパガンダに同調するWHOの姿勢も不可解である。ウイルスがどこから発生したのかも未だに分かっていない。
これら全ては政治家の判断に委ねられている。彼らのうちの何人が高校の化学のテストに合格できるだろうか。我々の大統領が合格すると信じている人はいるだろうか。彼らは「確立された科学」と言っているが、科学が何であるのかさえ知らない。
私はテネシー州ナッシュビルの自宅に閉じこもり、この原稿を書いている。COVID-19のせいではなく、厳しい寒波による猛吹雪で外出できないのだ。南部のテキサス州では異例の大雪で電力供給が間に合わず、大規模な停電が続いている。
15年前、アル・ゴア氏は地球温暖化を取り上げた映画「不都合な真実」の中で、「10年以内にキリマンジャロ山から雪がなくなるだろう」と警告した。
それがどれほど馬鹿げた予言だったのか、今では誰もが知っている。もちろんジョン・ケリー氏やジョー・バイデン氏、および誤った教育を受けてきた社会正義の烈士たちは例外だ。実際、これは「地球温暖化」が騒がれていた時代のことで、「気候変動」という都合のいい言葉にすり替えられる前の話である。結局、人間の活動よりも太陽の方が気候に重大な影響を及ぼすと言ってしまうと、権力や利益は得られないのだ。
世界が平らだと思われていた時代から、私たちは長い間「科学のない」年月を生きてきたのかもしれない。それは、今日の人々が昔と同じくらい真実について無知だからかもしれない。「確立された科学」という考えは矛盾しており、それを口にする人は恥を晒しているだけである。
COVID-19と気候問題は共通している。我々は決定的な言葉を口にする前に、まずは謙虚になるべきである。そして「科学者を信じている」と言う政治家には、常に懐疑的でいなければならない。彼らがなぜ特定の科学者を信じるのか、その理由が明確ではないからだ。
この原稿を書いている最中、私の地域は再び猛烈な吹雪に見舞われた。気温は-4度、ナッシュビルの2月の平均気温より15度低い。人々は凍結した路面をスリップした車の写真を携帯アプリで共有し、外出を控えるよう警告している。
しかし、心配することはない。バイデン政権がパリ協定に復帰したのだから、我々はきっと救われるのだろう。
(文・ロジャー・サイモン/翻訳編集・郭丹丹)
執筆者:ロジャー・サイモン(Roger L. Simon)
アメリカの小説家・オスカー賞受賞脚本家。ニュースサイト「PJメディア」の共同創設者。
※寄稿文は執筆者の見解を示すものです。