エストニアのウルマス・リンサル(Urmas Reinsalu)外相(GINTS IVUSKANS/AFP via Getty Images)

「北京主導の声なき世界」エストニア報告書が警告 中国の変更要求を拒否

エストニア対外情報機関は12日発表の年次報告書で、中国共産党(以下、中共)が世界的な影響力を強め、「北京主導の声なき世界」を作ろうとしていると警告した。同国の中国大使館は報告書の内容変更を求めたが、拒否された。

報告書は、中共が経済的利益の誘惑やスパイ活動、エリートとの関係構築などで海外への影響力を高めていると指摘している。欧米との対立が激化する中、中共は欧米を分断する戦略を立てているという。

「世界を中国の技術に依存させる」

報告書は、中共の指導部が世界を中国の技術に依存させるという明確な目標を持っているとし、中共が投資や5Gネットワーク技術などを通じてエストニアに浸透していると警告している。

報告書では、特に中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と中国版の衛星測位システム・北斗(BeiDou)について言及した。

エストニアは、トランプ前政権主導の「5Gクリーンネットワーク」に参加し、華為技術などの中国サプライヤーを排除している。

報告書は、中共の外交政策が提唱するいわゆる「人類運命共同体」の実現は、「北京主導の声なき世界」につながると警鐘を鳴らした。

駐エストニア中国大使館は14日、「強い反対」の声明を発表し、「エストニア人民に対する中国人民の感情を傷つけた」とし、エストニア当局に報告書の内容変更を求めた。エストニアのウルマス・リンサル(Urmas Reinsalu)外相は、この要求を拒否した。

同外相はエストニア公共放送(ERR)に対し、報告書は「専門知識に基づいた安全性評価である。それは決して、中国との二国間協力を全く進めないということではない。両国の安全保障に役立つ場合はそうすることもある」と述べた。

「欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)は世界における中国(共産党)の影響力の増大について議論している。(中略)エストニア政府は独自の対中政策を採用している」と付け加えた。

「欧米を分断し弱体化させる」

欧州の小国エストニアは、ソ連から独立した国の一つ。エストニアは長い間、隣国ロシアに神経を尖らせていたが、近年、中共の対外浸透への言及が増えているという。

エストニア対外情報機関は年次報告書の中で、欧米との対立が強まる中で、「中国(共産党)の主な目的は、欧米を分断し、弱体化させることだ。中国(共産党)は、分断された欧州が弱い相手となり、米国のような強い抵抗力を持たなくなることを十分に認識している」と述べている。

外国情報機関の責任者ミク・マラン(Mikk Marran)氏は報告書の序文で、「中国(共産党)の活動は年々新たな安全保障上の懸念を高めている」とし、「中露協力は緊密化しており、関係の主導権は北京が握っている」と指摘した。

北京は2012年から、中国と中東欧17カ国の経済協力の枠組み「17+1」を推進するなど、欧州の後背地で積極的に活動している。エストニアなど6カ国は2月9日、北京が召集したオンラインの「17+1」首脳会議に閣僚だけを派遣し、中共を意図的に冷遇したと見られている。

ルーマニア・アジア太平洋研究所(RISAP)のアンドレア・ブリンザ(Andrea Brinza)副主席は、米VOAに対して、中東欧諸国の中国への冷遇は欧州連合と米国、そして自国民へのアピールだと述べた。「『17+1』枠組みがゾンビ化しており、約束された投資が履行されず、輸入も増えていない。これに失望した一部の加盟国は脱退を考えている」と同副主席は指摘した。

米エンタープライズ研究所(American Enterprise Institute、AEI)研究員のゲーリー・シュミット(Gary J. Schmitt )氏も、VOAに対して「欧州各国を分断させようとする中国(共産党)の戦略はある程度の効果はあるが、中国の振る舞いに対する国際社会の反感を増幅させている」と述べた。

(翻訳編集・王君宜)

関連記事
中国では資本逃避が続き、2024年には2540億ドルに達した。政府の厳しい規制や経済的問題、さらに台湾問題が資本流出を加速させている。政府の短期的な刺激策も信頼回復には不十分で、今後も資本流出と投資低迷が予想される
中国で病院倒産相次ぐ...「いまは定年まで働けるかの問題だけではない、私が定年するまで職場がまだあるかどうかの問題もある」が流行語? 給料が払えないのら、もっと早く倒産させるべきだった。金に執着すると、同じように多くの人々が苦しむのだ。また、稼ごうと思って、左目の手術のついでに健康な右目を手術するのはやめてくれ。
マンホール蓋開けっ放しで安全標識なく、作業員は遠くで携帯いじり?中国で相次ぐマンホール転落、小学生が死亡。「自分さえよければ他人がどづなろうと、知ったこちゃない」と考える人が多いのは、中共の教育のせいだ。すこし考えればすぐにわかるリスクだ、それを放っておくことができるのは洗脳された木偶の坊だけだ。次に起こりえる危険が自分に及べば反応するだろうが、他人のことは考えられないというのは,PCより, 知能が劣るだろう。
中国西安の西北大学で、学生が「マルクス主義原理」の授業中に「馬鹿げた理論」と批判し、共産党員でないと宣言。多くの学生が授業に無関心で、ネットでも大きな話題に。
「誰かが精神的に突然キレて凶悪犯に豹変しないよう、自分の言行を慎もう」と多くのユーザーが冷や汗かく、元マンション警備員による住民一家殺傷事件。邪気の素は中共だ。民衆は皆、毒されている。解毒をしなければ、人生は最低となる。