古代中国の物語

信義の君主 楚荘王

中国古代の人々は「信と義」を特に重んじていた。混乱期の春秋時代においてもそれは変わりなく、春秋の五覇の一人に数えられる楚国の君主・荘王も、信義に基づいて行動した。彼の言動は後世、孔子が褒め称えている。

これは中国古代の歴史書「左伝」に収録されている話である。春秋時代、小国の陳国は君主の霊公が酒に溺れてしまい、荒廃していた。そこで大夫(中流貴族)の夏征舒が霊公を暗殺し、自ら王の座に就いた。紀元前598年、荘王は「正義を正す」という理由で陳国に出兵し、夏征舒を殺して陳国を併合、楚国の一つの県とした。しかし後に、大夫の申叔時の進言を聞き入れ、陳国に主権を返したという。

陳国を併合した際、楚国の大臣や地方の役人、諸属国は皆、口を揃えて領土拡大を祝った。しかし楚国の大夫、申叔時だけは祝辞を述べず、荘王の怒りを買って直々に詰問されることになった。申叔時は「臣下は王様がお訊ねにならないことは述べることができませんが、王様がお知りになりたいのであれば何でも素直に申します。ですから、まずは怒りをお鎮めください。お怒りが収まりましたら、一つの寓話をお話ししたいと思います」と切り出し、次のように話し始めた。

▶ 続きを読む
関連記事
豆の色は五臓と深く関係し、体質に合った豆を選ぶことで免疫力や体調を整える助けになります。あずき、緑豆、大豆、フジマメ、黒豆の特徴と活用法を紹介します。
高速道路脇でくつろぐ巨大グリズリー——偶然の出会いが生んだ奇跡の一枚。カナダ・バンフの大自然と、野生動物の意外な素顔に心が和む写真ストーリー。思わず見入る体験談です。
「自分を大切にする」とは、甘やかすことではない——快適さに流されがちな時代に、本当の自己愛とは何かを問い直す一編。心と生き方を整える、少し厳しくも深いヒントが詰まっています。
自閉症は「一生変わらない障害」だと思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。最新研究と専門家の見解から、発達の仕組みや改善の可能性、早期介入の重要性を丁寧に解説します。理解が深まる一編です。
がん細胞は糖だけでなく、脂肪やアミノ酸など複数の燃料を使い生存します。研究者は、この代謝の柔軟性を断つ新たな治療戦略に注目しています。