与野党で活発化する人権外交への取り組み ビザ制限や資産凍結も視野
今、日本の人権外交は大きな転換点を迎えつつある。与野党の議員は人道に対する犯罪をテーマとする外交問題研究チームを党内や超党派で結成しており、国外の専門家とも議論を交わし始めている。その背景にあるのは、中国共産党によるウイグル族の弾圧や、香港・ミャンマーの切迫した人権状況だ。日本の人権外交はこれまで、対外援助政策(ODA)を中心とした支援による人権尊重の推進が中心だった。しかし、中国共産党政権に代表される高圧的な人権侵害に対応するため、ビザ制限や資産凍結といった制裁手段を法制化する動きが活発になっている。
報道によると、自民党外交部会は2月初旬、人権外交プロジェクトチーム(PT)の初会合を開いた。佐藤正久・外交部長は、PTでは中国人権問題が中心議題であることをSNSで明らかにしている。人権侵害加担者に制裁を科す日本版マグニツキー法制定などが議題に上がったという。6月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)までに党内意見をまとめる。
国民民主党は同月18日、従来の人権外交の柱である「対話と協力」では問題解決に至らないとして、ビザ規制や制裁を加える「行動」を伴う取り組みについて声明を発表した。同党は、強制労働を使った製品ではないことを保証する「人権デューデリジェンス」の必要性を訴えている。同党には、国際議員連盟である「対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)」の日本共同代表を務める山尾志桜里議員が人権外交政策案を牽引している。
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