【ほっこり池】10年前の桜

 あの年も、日本の桜は美しく咲きました。

 しかし、日本中が喪に服したかのように、例年通りのお花見などとてもできない自粛ムードになっていました。ブルーシートで宴会の場所をとり、ほろ酔いでカラオケに興じるのはともかく、ささやかな楽しみとしてのお花見さえ、禁じられたわけでもないのに、できる雰囲気ではなかったのです。

 それも無理はありません。被災地では、必死の闘いが続けられていました。ご遺体の捜索。被災者への生活支援。インフラの復旧。しかも福島第一原発では、文字通りの「戦闘状態」でした。

 そんな中、被災県である福島、宮城、岩手の酒造メーカーから、熱いメッセージが発せられます。「日本全国の皆さん。お酒を飲んでください。花見をしてください!」。

 悲しみに打ちひしがれた被災地の人々が、実は最も強い人でした。

(慧)