福島県双葉町で震災後初の追悼式 町長「やっと光に向けてスタート切れた」
東日本大震災と福島原子力発電所事故から10年。福島県の双葉町の産業交流センターで3月11日、町では震災後初となる追悼式を開催した。式典には町長および町の関係者、遺族ら計60人ほどが参加し、犠牲者を追悼した。また、伊澤史朗町長は式辞で、復興推進への考えを語った。
参加者は全員、地震が発生した午後2時46分に黙とうをささげた。伊澤町長は「最愛のご家族、ご親族、そしてご友人を亡くされた方々に心から哀悼の誠を捧げます」と述べた。そのうえで、避難指示区域の解除や常磐線の全線開通など復興の例をあげ、「震災の発生から10年、双葉町はやっと光に向けてスタートを切ることができた」と語った。
双葉町では、大地震による津波で21人の町民が亡くなった。そして155人の町民が震災関連死と認定されている。
式には県議会議員や地元警察署長なども参列し、追悼の辞を述べた。また、式の最後には参加者全員が献花台に白菊をささげた。
町長「戻ってきてよかったと思えるような町づくり」
式の終了後、伊澤史朗町長は大紀元の取材に対し、復興のビジョンを語った。双葉町は12市町村の中で最後に避難指示が解除された自治体ではあるが、ほかの自治体の経験を参考にしつつ復興に取り組むとした。
伊澤町長は、住民が戻ってきても働く場所があるよう、双葉町に雇用を創出すると述べた。「(双葉町は)22の企業と連携している。双葉町で暮らそうとする住民には、ある程度雇用については保障されている」
同時に、住みやすい町づくりを進めていくとした。「住民の皆さんが戻ってきてよかったと思えるような町づくり、新たな形での町づくりを計画している」と伊澤町長は語った。そして、再生可能エネルギーの運用や、景観に配慮した無電柱化の取り組みなど、住んでよかったと思われるような住民優先の町づくりを進めていくと述べた。
伝承館副館長「複合災害の記憶を将来へ」
双葉町では大地震と津波、そして原子力発電所の放射能汚染による「複合災害」を将来にわたって伝えていくための施設として、「東日本大震災・原子力災害伝承館」が建てられている。
伝承館の小林孝副館長は取材に対し、「福島県は類を見ない『複合災害』を受けた。その記録と記憶、そして教訓を将来にわたって伝えていくために伝承館はある。被災した県のなかで、福島県だけが複合災害を受けたため、複合災害に重点を置いている」とした。
復興の実感は、「建物が建ったり、土地の造成も進んでいる。しかし複合災害の特徴として、やりきれていないという感触がある」と小林副館長は述べた。そのうえで、「福島はもともと農産物や観光も盛んであり、引き続き全世界に発信していきたい。そして、多くの人々が福島県に来るよう頑張っていきたいと思う」と話した。
(王文亮)