中国、ウイグル人迫害で国連条約に違反も「豪州が人権を侵害」と国連に抗議
中国は12日に国連人権理事会で、オーストラリア政府が人権侵害を犯していると抗議し、オーストラリアが国外収容施設に庇護希望者を収容していることを「深く憂慮している」と主張した。
この動きは、中国政府の強制外交における戦術の変化を示すものだ。一方、米国のニューラインズ戦略政策研究所が発表した新たな報告書によると、中国政府はウイグル人の迫害において、1948年の国連ジェノサイド条約の全ての条項に違反したことが明らかになった。
中国政府は国連人権理事会に対して声明を発表し、オーストラリアの国外収容施設では収容者に「適切な医療」を提供しておらず、彼らの人権は侵害されていると主張した。
ロイターによると、中国政府は声明で、「我々はオーストラリアに対し、全ての国外収容施設を直ちに閉鎖し、移民、難民、庇護希望者、そして特に子どもの権利を保護するための具体的な措置をとるよう求める」と述べたいう。
中国はまた、2005年のアフガニスタンで、オーストラリア軍の兵士が戦争犯罪を行ったという申し立てに対して、「包括的かつ公正な調査」を行うようオーストラリアに求めた。
オーストラリアは抗議への回答を求められている。
一方、米ニューラインズ研究所の報告書は、中国共産党がウイグル人を「根絶」するために広範な残虐行為を行っていると結論づけた。
同報告書の一部は、中国共産党がウイグル人のコミュニティ指導者の他にも、「計画的に妊娠適齢期のウイグル人を標的にして」拘禁していることを明らかにした。また、ウイグル人を取り巻く状況は「生活できる様なものではない」とし、中国共産党はウイグル人女性に出産防止策を課したり、子供を両親から引き離したり、「集団収容に似た方法で」大量のウイグル人に強制労働をさせたりしているとした。
ヒューマン・ライツ・ウォッチによると、中国は多くの「産業的規模」の人権侵害を犯したにもかかわらず、昨年国連人権理事会に再選された。
トランプ前大統領は2018年に米国を国連人権理事会から脱退させた。同理事会は人権問題に対する行動が不十分であること、そして中国、ロシア、キューバ、ベネズエラなどの悪名高い人権侵害国が加盟していることが理由だった。
しかし、バイデン政権は2月、米国が国連人権理事会に再加盟することを発表した。
今回の中国のオーストラリアに対する抗議の背景には、悪化し続ける両国関係がある。
オーストラリアのペイン外相が中共ウィルス(新型コロナ)の発生源の調査を求めた事を受け、中国政府は昨年5月から豪州との貿易戦を加熱させている。
貿易戦の影響で、牛肉、ワイン、大麦、ロブスター、木材、石炭、綿花など、さまざまな輸出産業が打撃を受けた。
中国政府は昨年末に方針を転換し、プロパガンダ役を担う環球時報を使い、オーストラリアの敏感な問題を攻撃し始めた。
その中には、オーストラリアが先住民の権利、性的暴行の申し立て、現地の中国人に対する人種差別、戦争犯罪の申し立てなどの問題に対処していないと非難する社説やツイッターの投稿も含まれる。
一方、オーストラリアは報復外交は行わず、自国の安全保障を強化し、中国以外に貿易相手を多角化することに力を注いでいる。
(大紀元日本ウェブ編集部)