ボビーはとても敬虔にヒンドゥー教の一種を信仰していて、私にもそれを薦めました。当時の私は、食べ物に対する嗜好が捨てられませんでした。彼女の宗教は肉を禁じ、緑色野菜だけを食べるという規律があったのです。私は婉曲に彼女からの誘いを断りました。
ある日私は、「あなたの宗教が肉を禁じている点は、理解できるわ。中国の僧侶も肉を食べないから。でも、中国の僧侶は豆の加工食品などを食べているけど、あなたたちは緑色野菜しか食べないんでしょう。冬になると、野菜の葉も黄色になるわよ」とボビーに言いました。
「あら、緑色は新鮮なのよ」と彼女は答えました。
「では、あなたたちのように緑色だけを食べるのはどの法門に帰属するのか、時間があったら調べてみるわ。あなたたちは最後にはどんな色になるのかしら。どっちみち、ニンジンを多く食べれば肌が黄色くなるんじゃない?」と私は冗談を言ったものです。
その後、私は法輪大法という教えに出会い、修煉を始めました。ボビーも私のために喜び、もう彼女の法門に私を勧誘することはなくなりました。しかし、彼女は決して私の信仰には入らないと明言しています。私も、彼女の意思を尊重しています。
私達は互いに自分の信仰があって互いに相手を尊重し、海に並んで航行する二隻の船のように、互いに干渉はしません。
彼女は毎年一度、インドに行きます。ある日、帰って来た彼女は「今回、私の先生が屋上で歩いた光景を見ました」と、少し神秘めかして語りました。
「どのように上がったの?」
「椅子もはしごもなく、壁もとても高いのよ……」と彼女は誇らしげに話しました。
「あなたの目の前で?」
「そうよ。その場にいたのは私だけではないわ」
「そう……」それから、私は口をつぐみました。
法輪大法を修煉してから、私はとても早く肉に対する執着を捨てました。食べても食べなくても気にせず、ふだんも肉を食べたいとは思いません。しかしある日、私は前日の食べ残しの鶏肉を診療所に持っていき、昼食にしました。鶏の手羽先を食べている私を見て、ボビーは真面目に、「肉を止めることは修煉の第一歩なのに、これさえ乗り越えられなければ、今後の修煉はどうなるの?」と言いました。
「あなたが言っていることは、とても良いことだと思う。でも、実は執着心がなければ、満腹になるまで何を食べても構わないのよ。あなたは同意する?」ボビーは、何か考えごとをするかのような顔をしていました。
診療所には医者や看護婦、従業員がたくさんいるため、夕方になると休憩室には使ったコップと食器がいつもたくさん溜まります。私は早起きして煉功するため、いつも一番早く診療所に着くと、コップと食器をきれいに洗っていました。私が外出して不在の時、山積みのコップと食器を見て、ボビーは直ちに「自分で使ったものは自分で洗おう!」と紙に大きく書き、壁に貼りました。
翌朝、私は診療所に来るとその貼り紙を剥がし、いつものように食器とコップを洗いました。洗いながら歌を歌っている私を見て、「私、なんだか恥ずかしいわ。コップを洗うことくらいで、なぜあんなに怒ったんだろう。具体的な問題に遇う時、どうして私は修煉の事を忘れてしまうのかしら」とボビーは言いました。私は、「一つ一つ、日常生活の小さな事から、いつも人のために考える。それは、私が修煉して悟ったことなの」と答えました。
法輪大法の修煉者たちが中国で迫害されていることを、ボビーは知っています。どうやったら手伝えるかしら、とボビーはよく私に尋ねます。彼女は私と一緒に、患者さんや医者たちを対象にした迫害停止の署名活動に参加してくれました。
法輪功を修煉してから、私の体力はますます向上し、病気に罹ったことがありません。修練を始めた初期には、たまに軽い病状が出たことがありましたが、いつもとても速く治りました。一方、ボビーの体調はますます悪化しているようでした。私に説得されて、やっと彼女は緑色野菜のほかに、豆や米、小麦粉の加工食品も取るようになり、かろうじて健康を維持しています。さもなければ、ちょっと風に当たるとすぐに風邪をひいてしまいます。
毎回インドから帰って来ると、ボビーは必ず一度病気にかかり、私のところで数回治療します。旅行中の疲労、および抵抗力が弱いのが病気の原因だとボビーは思っているようでした。
それからの数年の間、ボビーは次第にたくさんの薬、様々なビタミン剤、蛋白質などの栄養剤を飲むようになりました。一方、私の食事はますます簡単になり、たまに一日何も食べない時があっても、体はますます元気になっています。寝ることも同じく、とても忙しい時に睡眠を忘れても、元気です。だんだんと、自分の体が自分の必要に応じてコントロールできるようになりました。
私の生活、仕事、普段の振る舞い、人との付き合い方、そしてどのように修煉者の態度で日常生活を送っているのか、ボビーは私を観察しているようです。
(翻訳編集・陳櫻華)
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