中国の臓器強制摘出疑惑、証言と国際調査で浮かぶ全貌

2026/07/27 更新: 2026/07/27

中国共産党による臓器強制摘出の実態が、内部告発や元軍医の証言、国際調査で明らかになりつつある。移植産業の構造、若年層を含む被害、米議会や国際社会の対応を整理する。

約20年前、カナダの元アジア太平洋担当国務長官デービッド・キルガー(David Kilgour)氏と人権弁護士デービッド・マタス(David Matas)氏は、『Bloody Harvest(血まみれの臓器摘出)』と題する独立調査報告を初めて公表した。彼らは、生体から臓器を摘出するという犯罪を「この地球上で前例のない邪悪」と表現している。  

当時、西側諸国の政治家や主要メディアの多くは、この問題に対して慎重あるいは懐疑的な姿勢を示した。生体臓器摘出という行為が常識を大きく逸脱していたためである。しかしその後、年月の経過とともに各種の証拠が蓄積され、実態が次第に明らかになるにつれ、人権、医学、政治の各分野において問題への認識は大きく変化してきた。  

内部告発者の死が示す疑惑の深層

2024年5月8日午前8時10分、湖南省長沙市において、中南大学湘雅第二病院の大学院生・羅帥宇氏が宿舎から転落し死亡した。修士課程修了まで残り1か月を切っていた。彼の専門は腎臓移植であった。  

当初、遺族には病院側から自殺と説明された。しかし両親が削除されたパソコンや携帯電話のデータを復元したところ、1000件を超える証拠資料が見つかった。録音、送金記録、チャットのスクリーンショットなどである。これらを印刷すると総ページ数は11,119ページ、総重量は約16キログラムに及んだ。内容は、湘雅第二病院が違法な臓器取引に関与している可能性を示すものであった。  

羅帥宇氏の突然の死と残された資料は、彼が内部告発に関与していた可能性を示唆している。その不可解な死は、より大規模な利害構造の存在をうかがわせるものである。(微博画像/合成)  

遺族が公開した録音の一つでは、病院関係者が羅帥宇氏に対し、「外に出て対象を探してこい」と指示し、3歳から9歳の子どもを「ドナー」として見つけるよう求めていた。録音の中で、こうした子どもたちを「ドナー」と呼ぶことにためらいは見られなかった。  

また羅帥宇氏の父親は後に取材に対し、病院側の責任者が自宅を訪れ、1500万元の支払いと引き換えに沈黙を求めたと証言している(約3億円)。しかし家族はこれを拒否した。  

元軍医の証言が語る実態  

1994年、鄭治氏は瀋陽陸軍総医院で研修中、突然軍区からの指示を受け、数名の軍医と看護師長とともに「機密任務」に従事するよう命じられた。家族との連絡は禁止され、一行は改造された救急車で一晩かけて大連近郊の刑務所へ移送された。  

翌日、厳重に警備された空き地に連れて行かれた彼らは、手足と首を縛られた若者を目にする。看護師長が衣服を切り開いて消毒した後、軍医は麻酔を用いず胸部を切開し、腹部まで切り裂いた。腸が露出し、その後両腎が摘出された。さらに現場にいた軍人は、鄭治に対して被害者の眼球の一つを摘出するよう命じた。  

鄭治氏は止血鉗を手にしたものの、実行することができなかった。「被害者の目がまっすぐ自分を見ており、まばたきもしていた」ためである。最終的に別の軍医が処置を行った。  

2023年7月31日、鄭治氏は大紀元の独占インタビューに応じ、この経験を公に証言した。(動画キャプチャ)  

この出来事は彼に深刻な心理的影響を与えた。2002年、腎疾患を患う軍幹部に付き添って健康診断を受けた際、廊下である将校が「質の良い新鮮な臓器を用意してやる。法輪功学習者の腎臓だ」と語るのを耳にした。これが、法輪功学習者が標的となっていると認識した最初の機会であった。  

さらに2005年には、中国共産党政治局常務委員の側近から、湖北省公安庁の地下施設に多数の法輪功学習者が拘束され、その中には未成年も含まれているとの話を聞いたという。  

2007年、鄭治氏はカナダへ渡り、長年身分を隠して生活した。2023年、法輪功学習者・張秀琴の証言が公表されたことを契機に、実名で証言する決断に至った。その後、台湾の立法院などで講演を行い、臓器強制摘出を防止する法整備を訴えている。  

米議会・国際機関による最新調査:未拘束の学習者も標的に  

羅帥宇氏の死と鄭治氏の証言は、生体臓器摘出という巨大な犯罪構造の氷山の一角にすぎない。  

今年4月、米連邦下院議員であり米国議会・行政府中国委員会(CECC)共同委員長のクリス・スミス氏は、議会公聴会「A Market Built on Victims: Stopping Illegal Organ Trafficking in China and Beyond(被害者の上に築かれた市場:中国および世界における違法臓器取引の阻止)」で証言した。

スミス氏は、中共政権が「大量の健康な人々を非人間化し、拘束した上で、血液型検査、組織適合検査、臓器スキャンを行い、データベースを構築している。需要が生じると、中国の権力者であれ外国からの移植ツーリストであれ、適合者を特定し、必要に応じて命を奪う」と指摘した。  

同公聴会の記録によれば、最新の調査では、中国各地でこのような健康スクリーニングを行う施設が113か所確認されており、直近の事例は2024年に確認されている。  

2026年5月14日、CECCは公聴会を開催し、中共による生体臓器摘出の問題に焦点を当てた。共同委員長のスミス議員は同公聴会で発言している。  (李辰/大紀元)

スミス議員はまた、強制的に臓器を摘出された被害者の平均年齢はわずか28歳であり、被害者の多くが法輪功学習者やウイグル人であると証言した。  

今年5月、「法輪大法情報センター」がCECCに提出した正式な書面証言には、「2023年3月から6月にかけて、安徽省の一部の学習者が地元警察に呼び出され、血液検査や健康診断を受けさせられた」と記されている。この証言は、こうした採血や健康診断の事例が時間的・地理的に広範囲に及んでいること、さらに同センターが2024年にCECCへ提出した証言内容とも一致していることから、長期にわたる国家レベルの政策に基づくものであることを示している。  

「独立人民法廷」最終判決  

2019年6月17日、独立人民法廷「チャイナ・トリビューナル(China Tribunal)」はロンドンで最終判決を下した。裁判長は、ミロシェビッチ戦争犯罪裁判を主導した英国の勅選弁護士ジェフリー・ナイス卿(Sir Geoffrey Nice QC)である。  

判決文は、生体臓器摘出が「中国全土で長年にわたり継続され、かつ大規模に行われている」と認定した。また、法輪功学習者が「主要な臓器供給源であり、かつ最も重要な供給源である可能性が高い」と結論づけている。さらに、「中国の移植産業に関連する巨大なインフラが解体された証拠は存在しない」と指摘し、合理的な他の説明が見当たらないことから、生体臓器摘出は現在も継続していると結論づけた。  

「人民法廷」は2019年6月17日、ロンドンで判決を下し、中国(中共)による良心の囚人からの臓器摘出が依然として存在し、法輪功学習者が最も主要な供給源であると認定した。(冠奇/大紀元)

この判決を支える証拠は相互に密接に関連している。判決文によれば、中国の複数の移植病院や医師が提示する待機期間は、自発的な臓器提供制度に依存する国では到底実現し得ないほど短い。  

一般の国では、患者が適合する臓器を得るまで通常数年を要するが、中国の多くの移植病院はかつて、待機期間がわずか1〜2週間であり、仮に移植が失敗しても1週間以内に再度臓器を確保できると公然と宣伝していた。  

法廷は最終的に、こうした行為がローマ規程第7条に定義される「人道に対する罪」に該当すると認定した。  

移植産業を支える国家構造  

この臓器収奪の犯罪が長期にわたり維持されてきた背景には、中国の国家機構全体の関与があるとみられている。調査によれば、中国では150以上の軍関係病院の大半が臓器移植業務を行っており、その規模は極めて大きく、法輪功学習者からの臓器収奪の中核を担っていると指摘されている。  

これらの病院はいずれも2000年以降、臓器移植件数が急増したと報告している。大規模なインフラ整備、医師の養成計画、公表されている手術件数はいずれもこの時期以降に集中している。これは、中共による法輪功弾圧が開始された時期と一致する。  

2006年、天津市第一中心病院は17階建ての臓器移植センターを建設した。写真は天津市第一中心病院。(病院資料)  

デービッド・キルガー氏とデービッド・マタス氏は、報告書『血まみれの臓器摘出/大虐殺:更新版』において、法輪功学習者という供給源が確立された後、中国の臓器移植産業はほぼ一夜にして形成されたと結論づけている。  

『血まみれの臓器摘出/大虐殺:更新版』の三人の著者(左から)デービッド・キルガー氏、デービッド・マタス氏、イーサン・ガットマン氏。(Simon Gross/Epoch Times)

また、瀋陽の中国医科大学附属移植センターは、そのウェブサイトにおいて、これほどの移植手術件数が可能であるのは中共政権の支援と不可分であると明記している。さらに同センターは、「最高人民法院、最高人民検察院、公安部、司法部、衛生部および民政部が1984年10月9日に共同で関連法規を公布し、臓器提供が政府に支持される行為であることを確立した。これは世界でも例がない」としている。  

国際社会の法的対応と制裁の動き

1999年に法輪功への迫害が始まって以来、すでに27年が経過した。当時、労働教養所に送られ、組織的に健康診断を受けさせられ、密かに適合の可否を判定されていた一般の学習者たちの運命は、いま徐々に明るみに出つつある。そしてその実態は、ロンドンの法廷やワシントンの連邦議会へと持ち込まれている。  

今年3月5日、米上院議員クルーズとマークリは「法輪功および生体臓器摘出被害者保護法案」(S.4009)を提出した。この法案は、中共による臓器摘出に関与または協力した個人や団体に対し制裁を科すことを目的としている。6月17日には上院外交委員会で可決され、すでに30以上の団体が連名で書簡を提出し、本会議での速やかな採決を求めている。  

この長い正義への道のりは、いまだ終わってはいない。しかし、その声はもはや沈黙の中に埋もれてはいないのである。

唐伯庸
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