中国当局が出国管理を強める中、出国を制限された人の一部では、親族に海外資産の管理や処分を任せようとしても、手続きが難しくなっているという。金融業界の関係者が大紀元に語ったところによると、最近では、一部の直系親族や傍系親族(兄弟姉妹 、甥姪 など)も出入国審査で出国を制限するケースがある。当局による人の移動の統制強化が、海外資産の管理や処分にも影響を及ぼしているとの指摘が出ている。
関係者によると、影響を受けているのは公務員のほか、国有企業や民間企業の管理職、金融・テクノロジー分野の重要な職務に就く人などである。これまでは、本人が出国できない場合でも、親族に海外資産の管理や処分を任せることができた。しかし現在は、親族自身が問題なく出国できるかどうかも分からない状況だという。
この関係者は、最近の事例について次のように語った。
「最近、友人の弟が上海から出国しようとした際、出入国審査の係員に止められ、『出国できない』と告げられたそうです。理由を尋ねても、説明はなかったといいます。北京の空港でも、交通銀行に勤める中間管理職の妹が出国を認められなかったケースがありました」
関係者「対象は家族や傍系親族にも」
中国国際金融(CICC)に勤務する徐氏は、大紀元の取材に対し、当局が一部の公務員や企業・事業体の管理職を出国制限の対象とした後、親族に海外で資産の管理や処分を任せる動きがみられたと述べた。また、海外に会社を設立し、貿易取引を通じて中国国内の資金を移すケースもあったという。
徐氏は、こうした動きを受け、当局は対象者の親族にも出国制限の対象を広げ、一部では傍系親族も影響を受けていると話す。
中国国務院が公布した新たな出入国管理規定は、9月15日に施行した。輸出管理や技術の輸出入管理などに違反し、国家の産業安全や技術安全を損なうおそれがある場合、当局が本人を出国不許可の対象にできると定めている。原則として、決定した機関は本人に理由を通知しなければならない。ただ、国家安全保障や刑事捜査などに関わる場合は、通知しないことも認めている。
一方、この新たな規定には、対象者の親族について出国を認めないとする明文の規定はない。関係者が述べた親族の出国阻止事例については、個別に検証する必要がある。
海外資産の処分に影響
上海に住む元公務員の高氏は取材に対し、中国の公務員の中には、親族が海外で生活している人も少なくないと語った。高氏によると、職位が高くなくても重要な職務に就き、その立場を利用して利益を得る人もいるという。
高氏は次のように話した。
「この30年間に不正な利益を多く得た人の中には、アメリカ、イギリス、オーストラリアに預金や住宅を保有している人もいます。アイルランド国籍を取得した人もいる。しかし、突然、出国政策が厳しくなり、本人が出国できなくなった。そこで、信頼できる人に海外での手続きを頼もうとしているのです」
海外資産を持つ人にとって、出国制限は単に旅行の機会を失うだけの問題ではない。口座の管理や不動産の売買では、本人による手続きを求められる場合がある。本人が渡航できない場合は、親族に手続きを任せることになる。しかし、その親族まで出国審査で止めれば、海外に残した資産の管理や処分が難しくなる。
海外口座の凍結解除にも本人渡航が壁に
ヨーロッパ在住の李氏は、一部の事業体職員、特に地方銀行に勤める人の中には、資金を海外の銀行に移していたケースがあると話す。長年にわたって入出金や送金の記録がない口座の一部は、銀行によって凍結され、解除の際には、口座名義人本人による手続きを求めることがあるという。
李氏によると、名義人が出国を制限されれば、資金が海外の口座にあっても、本人が銀行で手続きを行うことは難しい。
「他人に代行を頼んでも、必ずしも手続きができるとは限りません。銀行がどのような書類を求めるかにもよります。本人が出国できなければ、口座内の資金を動かせないことがあります。最近も中国国内の友人何人かから、この問題について相談を受けました。私は『何とかして出国する方法を探すか、さもなければその資金はあきらめるしかない。両方を求めることはできない』と話しました」
中間層にも及ぶ人の移動の統制強化
中国ではこれまでも、高級幹部に対し、配偶者や子供の海外での就労・居住状況、海外資産の保有状況などを報告するよう求めてきた。また、一部の対象者については、旅券などの出入国証書を所属機関が一括して管理している。
李氏は、これまで比較的注目してこなかった中間管理職以下の層も、今後はより厳しい出国審査に直面する恐れがあるとみる。さらに、海外での手続きを担う親族まで制限の対象になれば、当局による個人や親族への統制は一段と強まることになる。
李氏は、この変化の背景には、中国の地方政府が抱える財政圧力もあると指摘した。その上で、当局が新たな財源を確保しようとしていることに言及した。
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