中国共産党中央宣伝部と国家ラジオ映画テレビ総局(SARFT)は10月29日、上海東方テレビ、江蘇テレビ、浙江テレビ、湖南テレビの各社衛星放送(BS放送)に、是正命令を出した。過度のエンターテイメント性を追い求めず、ファン文化を助長せず、「高い政治的意識をもって」(中国語:政治家辦報)番組の制作にあたるよう命じた。
「政治家辦報」とは毛沢東が1956年にメディアのあり方について述べたとき、使用した言葉だ。「(政治に無頓着な)書生ではなく、政治家のように時勢を鋭く捉えるべきだ」と唱えた。有識者の間では、当局は毛沢東の独裁時代に戻り、洗脳を強めていくとの見方が浮上した。
中国で高い視聴率を持つ4社はバラエティ番組が最も人気だ。4社の広告収入が業界全体の4分の1を占めているといわれる。
SARFT、番組は習近平思想に寄り添うべき
SARFTは同日、今年10月~2022年末まで、全国のラジオ、テレビ、インターネット放送を対象に、「我々の新時代」をテーマとする番組の制作・放送キャンペーンを実施すると発表した。
今後の番組制作の方針について、「政治的認識を高め、イデオロギーを重視するという原則のもとで、新時代を謳歌するテレビドラマ、ウェブドラマ、バラエティ番組、ドキュメンタリー、漫画、公益広告などを数多く制作・放送すること」を指示した。中国共産党(以下、中共)の1世紀にわたる「奮闘」の成果を十分に反映し、習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想を存分にアピールすることを通達した。
出演者について、政治的立場が正しくない人、中共に従順でない人を起用禁止と事細かく定めた。
有識者、中共は洗脳を深化
中国本土の作家で、評論家の李希(仮名)氏は、大紀元の取材に対し、中共中央宣伝部と国家ラジオ映画テレビ総局のこの命令は、以前から温めていたものだと指摘した。
「高い政治的意識」への要求は、すべての報道機関を「党の声だけを伝える」共産党の機関メディアに変えるためだと李氏は言う。
中国在住の独立系時事評論家の呉特氏は大紀元の取材に対し、「国民の関心が娯楽番組に集中するため、政治的な洗脳に支障を来たす」と考える中共指導部は、テレビ番組を洗脳道具に変えようとしていると分析した。
(翻訳編集・叶静)
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