中国・湖北省の武漢大学の入学式で、白い椅子の背もたれに貼られた赤い丸いシールが「日の丸」がずらりと並んでいるように見え、「日本国旗そっくりだ!けしからん!」」とネット上で激しく炎上した。
武漢大学は9月5日、大学院新入生の入学式を開催した。ネット上に出回った写真によると、会場中央に並べられた白い椅子の背もたれ中央に赤い円形のシールが貼られており、その見た目がまるで日本国旗のようだった。
この写真はネット上で激しい非難を呼んだ。SNSでは「この学校、もう日本のスパイに浸透されてるだろ」「大きな白地に小さな赤丸、感度が低すぎる。誰もおかしいと思わなかったのか」「バカでも日本国旗に見える」といった声が相次いだ。
これに対し、武漢大学は声明を発表し、椅子の背もたれに貼ったシールはあくまで学生の座席案内用であり、意図的なデザインではないと釈明。「誤解を招いたことを深くお詫びし、今後は作業の細部をより注意深く確認する」とした。
しかし、この説明はネットユーザーの怒りを鎮められなかった。現在、武漢大学大学院の公式サイトはアクセス不能となっている。
自称・武大の学生によれば、昨年や一昨年の入学式でも同様に赤い円形シールを使用していたが、その時は椅子の側面に貼られていた。今年は椅子背の中心に貼られたため、日本国旗にそっくりになったのだという。
武漢市民の蔡雲(仮名)は大紀元に対し、「中共はちょうど9月3日に大規模な軍事パレードを行ったばかりで、民族感情が高ぶっている時期に、今回の椅子事件が起こった」と指摘。ネット上では非難が巻き起こり、「ちょうど民族憎悪を煽り、反日世論を高めるのに利用できる」と述べた。
中国共産党政権が国民に植え付ける「反日教育」
いうまでもなく、背景には中国共産党が国民に対し長年植え付けてきた「反日教育」がある。
日本在住の時事評論家・黎宜明(れい・ぎめい)氏は本紙の取材に対し、「中共が長年続けてきた反日教育は確かに効果を上げており、多くの中国人が日本を憎むようになっている。日本に関わるものであれば何でも嫌悪の対象となり、今回の武漢大学の椅子騒動も、その鬱憤をぶつける“的”にされたにすぎない」と指摘した。
武漢大学は桜並木でも知られるが、日本ゆかりゆえに「友好の花」と称えられる一方で、「国の屈辱を想起させる花」と批判されることもある。美しい花でさえ賛否を呼び、赤いシール一枚が騒動へと発展する。この現実は、仇日教育が社会にいかに深く根を下ろしているかを物語っている。
中国における反日教育は、1994年に「反日」で知られる当時の中共党首・江沢民が自らの権威基盤を固めるために「愛国主義教育実施要綱」を制定したことで強化された。抗日戦争を中心に据えた歴史教育が全国的に強調され、学校教育や博物館、記念館、メディアを通じて旧日本軍に関する否定的な言説が繰り返し取り上げられた。

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