マルタ女性記者殺害、汚職事件の裏に「一帯一路」絡む投資計画=報道
2017年、マルタの著名な調査報道ジャーナリストであるダフネ・カルアナ・ガリツィア氏が車で自宅を出た直後、車に仕掛けられた爆弾で殺害され、事件は国際社会に大きな衝撃を与えた。ガリツィア氏は当時、政財界と外国資金の癒着を暴こうと取り組んでいる最中だった。同氏の遺志を継いだジャーナリストがその後、調査を続け、資金の流れの解明を目指した。そしてついに、マルタの大規模な汚職事件が中国当局が提唱する巨大経済圏構想、「一帯一路」に関係していることが明らかになった。
2016年、各国の首脳や富豪らがタックスヘイブン(租税回避地)を利用して資産を隠していた実態を明らかにしたパナマ文書が公開された。ガリツィア氏は、マルタのムスカット首相(当時)とその妻が外国の資金を受け取っていると批判した。17年、ガリツィア氏は同国富豪ヨルゲン・フェネック氏が率いる企業と政府高官の結託を調査していた最中に暗殺された。
調査報道組織、組織犯罪と汚職報告プロジェクト(Organised Crime and Corruption Reporting Project、OCCRP)は3月29日、ロイター、タイムズ・オブ・マルタ紙、南ドイツ新聞紙と共同調査報告書を発表した。
関連記事
インドネシア政府は、総額73億ドルを投じた「フーシュ(Whoosh)」高速鉄道プロジェクトをめぐり、北京との間で緊急の債務交渉を行っている。
中国が進める一帯一路のインフラ事業を巡り、参加国から不満や反発が相次いでいる。一帯一路は過去の案件への追及に縛られ、かつての『世紀の事業』から『世紀の重荷』へと変貌しつつある。
中国の三峡ダムが一帯一路参加国に広がっている。建設計画を詳しく調べると、ダム建設による利益はほとんど無いに等しく、国の威信や政治的圧力、宣伝効果のために建設が進められたものが大半を占めるという。
米国との貿易摩擦が一時的に緩和する中、中共は南米における影響力の拡大を継続しようとしている。
設計改ざん、署名偽造、基準未満の建材使用──中国主導の粗悪インフラ輸出