菅首相が訪米、共同声明「台湾」明記に政府内で意見割れ=報道

菅義偉首相は16日午前9時ごろ、バイデン米大統領との首脳会談に臨むため、米ワシントンに到着した。両首脳は、主に香港・新疆問題、台湾海峡での軍事的緊張、世界的な半導体不足などについて意見を交わし、中国当局に明確なシグナルを送るとみられる。

外務省の発表によると、菅首相は15~18日までの日程で米国に滞在し、米現地時間の16日にバイデン大統領と首脳会談を行う。首相は、バイデン政権が発足後、バイデン氏と対面で会談する初めての外国首脳となる。会談では、日本の外交・安全保障の基軸である日米同盟の「強固な絆」を改めて確認する。

菅首相は出発前にツイッター上で、訪米の目的は「バイデン大統領との信頼関係を構築する」と示した。また、首相は「自由、民主主義、人権、法の支配、この普遍的価値で結ばれた日米同盟をさらに強固なものにしたい」「自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、日米のリーダーシップを世界に示したい」と投稿した。

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)14日付は、情報筋4人の話として、バイデン政権は日米首脳会談後に発表される共同声明で、台湾海峡問題についての事項を明記する意向があると報道した。

FT紙の報道によると、ホワイトハウス側は日米首脳会談後の共同声明に台湾海峡についての内容を加えることで、中国当局により強いメッセージを送ることができると考えている。しかし、日本当局者の間では、菅首相が共同声明で台湾に言及すべきかについて、意見が割れているという。外務省の担当者は、首脳会談後に共同声明を発表するかはまだ決まっていないと話したという。

前回、日米首脳の共同声明で台湾に言及したのは、1969年に当時のニクソン大統領と訪米中の佐藤栄作首相が行った声明だった。

3月、日米の外交・防衛担当閣僚会合「2プラス2」は東京で行われた。会合後に公開した共同文書には、「台湾海峡の平和と安定の重要」が明記された。

中国の王毅・外相は今月5日、茂木外相との電話会談で、菅首相の訪米に向けてけん制した。この電話会談に関して中国外務省が公開した声明は、「中国は、日本が独立した国として、中国の発展を客観的かつ合理的に見て、中国に対して偏見を持つ一部の国に惑わされないことを望んでいる」と強く主張した。

一方、バイデン大統領の要請で、米国のアーミテージ元国務長官ら一行は15日に台湾を訪問し、蔡英文総統と会談した。

また、バイデン政権と欧州連合(EU)はこのほど、新疆ウイグル自治区における中国当局の人権侵害を非難し、中国当局者などへの制裁措置を科した。バイデン政権は、人権問題に関して、日本も米国・EUと歩調を合わせ、中国当局者とミャンマー国軍の高官に対して制裁を講じるよう求めている。

米シンクタンク、ランド研究所の政治学者であるスコット・ハロルド(Scott Harold)氏は15日、日経アジア(Nikkei Asia)の取材に対し、日米首脳は「同盟関係における価値観の役割について、双方が真剣に議論するだろう」と述べ、「米国は中国当局の新疆での人権侵害問題、香港をめぐる国際条約の違反を注視しているのは明らかである」とした。

バイデン大統領と菅首相は、中国当局の「ワクチン外交」に対抗して、両国による途上国への中共ウイルス(新型コロナウイルス)ワクチンの提供に関する協力強化を議論するとみられる。

また、世界的な半導体不足が深刻化しているなか、両首脳は半導体の研究開発と製造、供給網強化における日米間の協力について、意見交換する予定だ。

(翻訳編集・張哲)

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