合法強盗?中国、財政収入の三分の一が交通罰金の地方も
中国メディアはこのほど、北部のある地方では政府の財政収入の3分の1が交通違反の罰金によって賄われていることを暴露した。
報道によると、問題の地区は高速道路が通らない山間部で、石炭輸送では必ず通る場所。地方の公的予算は年間1億元(約16.6億円)余りだが、地元の交通罰金だけで年間3000万元(約5億円)以上の収入を「生み出している」という。
地元の当局者によれば、同地区は経済が立ち後れており、企業も少ない。そのため、地元政府はお金が必要になれば、交通警察などの法執行機関を当てにしているという。
地元ドライバーによれば、同地区の数十Kmの区間だけで10個の違反監視装置が設置されており、同じ道の他の地区より多く設置されている。
別のドライバーによると、同地区では速度監視装置が多いだけでなく、下り坂や曲がり角など気づきにくいところにわざと取り付けられている。
何度も罰金を経験したドライバーは、同地区の法定速度は時速60kmだが、それが突然「制限速度30Km」に変わるため、相当道慣れしている地元の人でなければ、「無事」に通過できない。スピード違反で撮影されれば、12ポイント差し引かれ、1000元(約1.6万円)も罰せられると明かした。
地元市民は、速度測定器が不満を持つ人によって、何度も破壊されていると述べた。
電子警察は金をかき集める「便利な道具」
統計によると、2020年の中国の交通違反罰金総額は約3000億元(約5兆円)とされている。2020年末時点の中国国内の民間車両の台数は約2.81億台であり、1台あたりの平均罰金は1000元(約1.6万円)以上という計算となる。
今年の中国両会期間中、全人代の重慶弁護士である韓德雲代表は「電子警察の濫用防止問題」を提起した。交通管制部門が収益のため取り締まり設備を増設し、「罰則の罠」を仕掛る内幕を多く暴露した。
韓氏は3月9日、「界面新聞」に対し、交通管制部門が道路標識や電子警察システムをむやみに設置することによって多額な罰金収入を得ていると指摘した。
同氏は「たとえば、北京京新高速など電子警察が集中している一部の地域では、1カ月で自動車による標識違反件数が4万790件に上り、1日平均1359件も起きている」と指摘した。
「一部の地方では意図的に同じ道上にいくつもの異なる制限速度を設定している。それも、緩衝地帯も設けられていない」などと例を挙げて説明した。
近年、交通違反の罰金で収入を生み出している中国の交通管制当局は世論から批判されている。今それが当局の金をかき集める「魔法の道具」となっている。人々は当局を「許可証を持った強盗」と皮肉っている。
最近、「南方日報」がある広東省の違反者の話を引用して報じたところによれば、高速道路で実線を踏んだために切符を切られ、罰金支払いの時、支払いシステム上にすでに62万人以上がここで違反していることを示していたという。
同報道を受けて、ネット上では白熱した議論を引き起こした。多くのネットユーザーは「62万人が落とし穴にはまったのか」「少しでも実線を踏んだらすぐに交通警察がやってくる。広東省仏山市の交通警察は本当に人を陥れるのが上手だ」と書き込んだ。
2016年3月25日~4月17日まで、上海市の公安当局は市内の6700人余りの交通警察官を全動員して「道路交通の違法是正キャンペーン」を実施した。ネット上に流出した当時の内部通知は、交通警察は指示された取り締まり件数をこなせなければ仕事を終えることができないと示している。
また同年6月、福建省当局も交通部門に同年の目標額133億元(約2207億円)を達成するよう要求し、すべての職員にノルマを課したと報じた。
(大紀元日本ウェブ編集部)