法輪功迫害、武漢市の幼稚園教諭に薬物 精神障害で苦しむ
中国武漢市に住む女性法輪功学習者、黄時群さん(50代後半)は2017年12月、地元当局に拘束され、正体不明の薬物を投与された。それ以降、黄さんは精神的な苦痛に悩まされ、視覚・聴覚と認知の機能が低下した症状がみられた。それでも、中国当局は黄さんと家族へ嫌がらせを続けている。
法輪功情報サイト「明慧網」によると、幼稚園の教諭として勤務していた黄さんは17年12月26日、町で住民に法輪功学習者への迫害事実を伝えている際、通報を受けた警察当局に連行された。その後、当局は黄さんを武漢市の再教育施設「洗脳クラス」に移送した。
黄さんは洗脳クラスに1カ月拘禁された。この間、体重が15キロ減り、体調は悪化した。家族らによると、洗脳クラスに入って5日目、黄さんは極度の恐怖感を抱き始め、動悸や体の震え、倦怠感、呼吸困難、口渇などの症状がみられた。夜になると、寝付けない状態も続いた。洗脳クラスで、職員らが薬物投与をほのめかす発言をしたことで、黄さんは薬物を飲まされたことに気づいた。
1カ月後、洗脳クラスから釈放された黄さんは自宅に戻った。しかし、明るい性格だった黄さんは薬物の影響で精神状態や不眠症状がさらに悪化した。躁うつ病などの症状が現れ、光や音に敏感になり、家の中をうろうろ歩き回るようになった。
このため、家族は黄さんを地元の精神科病院に連れて行った。診察した医師によると、黄さんの脳神経細胞に著しい退化がみられた。入院して治療を受けたが、その時、黄さんはすでに自分の身の回りのことができなくなっていた。退院後も寝たきり状態で、精神安定剤と睡眠薬に頼る生活を送っている。
母の変化
中国では、学校で先生が自分の子どもに少しでも目を配ってくれるように、保護者はよく先生にプレゼントなどを贈る習慣がある。
米国にいる黄さんの娘、アリエル(Ariel)さんは2018年1月、新唐人テレビの取材に応じた。娘は母親が中国の伝統気功、法輪功を習い始めた後の大きな変化を語った。「保護者からもらったプレゼントや現金はすべて送り返した。『真・善・忍』という道徳基準に照らして、母は園児の世話と学校教育が自分の教諭としての責務で、これをしっかりと行うことこそ大事だと考え、保護者から金品をもらう義理はないと思った」と話した。
娘によれば、中国当局が法輪功学習者への弾圧を始めてから、勤務先の幼稚園は黄さんの賃金や待遇を下げた。黄さんは教諭から外され、園内の掃除や雑務を担うようになった。
「それでも、母は不満不平を言わず、仕事をしっかりこなしていた」
「法輪功を学んでから、母は身体の体調がよくなり、性格もとても優しくなった。だから私は、なぜ中国政府が法輪功学習者を迫害するのか理解できない。しかも、弾圧はこんなにも長く続いている」
アリエルさんは中国国内に、家族の中に法輪功学習者がいるだけで強い不安と悲しみを強いられ、経済的な権利を奪われたうえ、社会に排除されている家庭が多くあると話した。
洗脳クラスでの迫害
アリエルさんは、洗脳クラスで法輪功学習者が非常に残酷な拷問を受けていることを聞いたと語った。
「職員らは24時間、学習者を眠らせず、法輪功を中傷する映像を見せ続ける。そのほか、彼らは学習者に暴行を振るい、高圧電気棒で感電させ、またはご飯のなかに薬物を混入したり、あるいは無理やり注射を打ったりすることもあると聞いた。こういう拷問を受けて、学習者はすぐに亡くなることはないが、徐々に体が弱まり、洗脳施設から解放されたあと亡くなる人が多い」
アリエルさんは、当時のインタビューで、「母親が洗脳クラスで常に苦しめられていることを考えると、とてもつらい」と述べた。
中国当局は、学習者に法輪功の修煉をやめさせるために、各省・市・区で「法制教育センター」や「法制教育所」など洗脳・再教育用施設を設置してきた。政府機関ビル内、国有企業、学校、病院、ホテルなど、様々な場所に洗脳クラスが存在する。武漢市だけでも、このような洗脳クラスは60カ所以上ある。
当局は法的手続きを経ずに、学習者を恣意的に洗脳施設に連行して、肉体的かつ心理的に迫害を加える。
何日間も睡眠を許されず、薬物を投与されて意識がもうろうとなっている学習者が、正常な判断ができなくなるのを待って、施設の職員らは学習者に、修練をやめるという同意書を書かせる手法を取っている。同意書の署名を拒み続ける学習者について、当局は学習者の勤務先に対して解雇などを強要する。洗脳クラスにいる間の費用はすべて学習者自身が負担することになっている。
明慧網の報道によると、武漢市当局は2月、黄さんの家族を複数回呼び出して聞き取りを行い、黄さんのことを海外メディアなどに口外しないよう圧力をかけた。
(翻訳編集・張哲)