チベットの光 (61) 人か幽霊か

ミラレパの洞窟の中での修行も過ぎていった。このとき、彼の衣服はすでにボロボロになり、叔母が彼の地所を売りとばしてよこした毛皮も修繕不可能になったので、彼はこれらのボロをかき集めて円座を縫い合わせようかとも思った。しかし彼はこうも思った。「人の命は無常だ。自分だって今晩死んでしまうかもしれない。だったら、少しでも多く修められるよう、時間を浪費しないようにしよう」。彼は余った布きれをすべて集め、自分が身に着けている皮のボロを一緒に合わせて円座を作ると、その他の布きれで下半身を隠した。晩にもなると彼はそのボロを身に着けて修行に励んだ。

 こうして彼の堅い修行はさらに一年続き、彼の功はさらに伸びた。

 ある日、一群の人々がミラレパの修行する洞窟の所まで来て、中に入って一望した。すると、そこに骸骨のようなものが認められたので、彼らは驚いて叫んだ。「幽霊だ!幽霊がいるぞ!」彼らは口ぐちに叫びながら後ろを振り返ることもなく走り去った。

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