中国成都市、高校生が校内で不審死 監視カメラ映像公開せず 市民らが抗議

中国四川省の男子高校生が9日、校舎内で転落し死亡した。学校は遺族に、死亡当時の校内の監視カメラ映像の提供を拒み、市当局も2日内で調査を終了した。「生徒が個人的な理由で自殺を図った」と結論づけた。遺族や市民は、学校や当局の対応に強く不満を示し、真相究明を求めている。

中国人ネットユーザーがツイッターに投稿した動画によると、四川省成都市で11日、多くの保護者が同市第四十九中学校(中高一貫校)の校門前に集まり、「真相!真相!真相!」と叫び、学校側の対応に抗議した。

死亡した生徒の母親は10日朝、中国版ツイッター、微博(ウェイボー)に投稿し、前日夕方に息子を学校の寮に送った約1時間後、息子は死亡したと訴えた。「昨日夜9時ごろに、学校側から息子が死亡したとの連絡を受けた。死因は校舎内の階段からの転落だと言われた」

母親は、学校側が監視カメラ映像を提供するのを拒否し、息子のクラスメートや担任の先生にも話を聞くことができないと学校への不信感をあらわにした。さらに、母親は警察当局から、転落は9日18時40分ごろに起きたにもかかわらず、救急車が約2時間後の20時半に学校に着いたと知った。救急車は病院ではなく、直接、葬儀場に向かった。

母親によると、林君には今まで自死の兆候が全くなく、当日は母の日のため、お祝いのメッセージを贈っていた。

母親は10日午後、再びウェイボーに投稿し、「学校側が監視カメラ映像を見せてくれた。(中略)息子が死亡した時間帯の映像だけがない」とした。さらに、成都市教育委員会が同日発表した調査結果について「軽率すぎる」と批判し、個人的理由で自害したという教育委員会の調査結果を「認めない」とした。

第四十九中学校の前で座り込む遺族(微博より)

いっぽう、成都市警察は11日夜、現場検証や検死などを経て、「生徒が高所から転落し死亡した。事件の可能性はない」との報告書を公表した。報告書は、「遺族はこの調査結果を受け入れた」とした。

米ラジオ・フリー・アジア(RFA)は遺族に取材を試みたが、連絡が取れなかった。

中国国内ネット上では、生徒の死に不審な点が多すぎるとして、当局の対応を批判する声が上がった。

成都第四十九中学校の保護者1人はRFAに対して、「皆、この事件を疑っている。警察当局などの報告書を信じていない。事件が起きた後、学校側はすぐに説明を行っていないし、監視カメラ映像も公開していない。今、生徒のお母さんとも連絡が取れない状態だ」と話した。

この保護者によると、10日に多くの保護者も学校に駆け付け、事件について学校に問い合わせようとした。「皆、学校の説明に納得できなかった。真実を語るよう学校に求めた」という。

成都市民の謝俊彪さんによると、11日午前、学校の前で抗議する保護者を排除するため、治安維持の警官隊が投入された。

「学校前に十数台の警察車両と1台の大型バスが停まっていた。多くの私服警官が学校の周りにいた。現場は重々しい雰囲気だった」

謝さんは、学校の前で写真を撮っただけで、連行された。

「私は警官にビンタされ、その後警察署に連行された。本当に怖かった。学校の周りで大声を出して、警官らに反抗できる市民は一人もいなかった。今の中国では、私たち市民が陳情しようとしても、それを聞いてくれる政府機関が全くないのが実情だ」と謝さんは嘆いた。

中国では過去数カ月、山東省、江西省、四川省重慶市で、中学生や高校生の転落死が相次いで起きた。いずれも真相が解明されていない。

(翻訳編集・張哲)

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