<オピニオン>
醜悪を追及する現代芸術
パンデミックによる世界的な混乱が続いているが、昔の生活と比べれば、我々は遥かに恵まれている。人間は常に「完璧な世界」を求めて現状を評価しがちだが、そんな世界はこれまでにも、そしてこれからも決して存在しない。
先日、私はコペンハーゲンにあるアートギャラリーの広告を見て衝撃を受けた。展覧会のタイトルは「Mother!」(母親)で、母性をテーマとする作品が並んでいる。ここでは、妊娠して静脈瘤になった母親の切断された足が何本もぶら下がっている作品については言及しない。私が注目したのは2枚の絵画である。
ひとつはディルク・ボウツ(1410~1475年頃)の『聖母子像』で、もうひとつはアリス・ニール(1900~1984年)の『ジニーとエリザベス』である。この2人の画家を隔てた500年は、乳幼児の生存率や生活水準が飛躍的に向上した時期である。
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