ジャック・マー氏の「湖畔大学」、大学名が消去される 名称も変更

アリババの創業者、馬雲(ジャック・マー)氏が設立したビジネススクール「湖畔大学」に異変が起きた。校門前の石に刻まれた大学名が消され、大学の名称も変更された。同大は3月末、すでに学生の新規募集を中止した。

16日、同大の校門前に置かれている石から作業員が「湖畔大学」の4文字を削り取る作業をしていた。その様子を捉えた動画や画像がネット上で急速に広がり、話題となっている。

大学名も「湖畔創研中心」に変更されたという。大学側は、湖畔大学は教育部の管轄を受けていない民間教育機関のため、「誤解を避けるために」名称を変更したと説明した。

湖畔大学はジャック・マー氏らによって2015年に立ち上げた起業家育成専門のビジネススクールで、マー氏が初代校長を務めた。

同大学は厳しい入学資格を設けている。3年以上の起業歴と3000万元(約4億8000万円)以上の年収などの条件を満たした者だけが入学できる。3年間の教育プログラムを実施しているが、年間約40人程度しか受け入れていない。2018年は、応募者数が4000人を超えるほどの人気大学だった。

同大は、有名企業家を輩出していた。マー氏は「湖畔大学は起業の仕方を教えるのではなく、企業をより長く存続させるようにするためのものだ」と同大について説明していた。マー氏は同大を300年続く教育機関にしたいと意気込んでいた。

しかし、今年4月、英紙フィナンシャル・タイムズは北京当局が同大学の新規募集の中止を命じたと報じた。

同紙によれば、これは当局からの、ビジネスから教育へと拡張しようとするマー氏への警告だという。

フィナンシャル・タイムズ紙はまた、同大学が当局に狙われた主な理由の1つは、中国のトップ起業家らが中国共産党ではなく、マー氏の目標達成に協力すると当局が懸念したためだとしている。

同紙はさらに、情報筋の話を引用して、「当局はマー氏が大学を信者の育成や、影響力拡大のためのツールとして利用することを決して許さないだろう」と報じた。

マー氏のアント・グループは去年、予定していた上海と香港市場への同時上場が突如、当局に差し止められた。先月も独占禁止法違反で彼のアリババ集団は史上最高額となる182億2800万元(約3000億円)の罰金が科された。

当局は独占禁止法違反を名目上掲げているが、実際にはアリババのような大手ハイテク企業を支配するためだとみられる。

一方、中国国務院(政府)は14日、教育産業への規制強化を狙う「民間教育促進法」改正案を発表した。同改正案では、民間の私立学校が当局の指導を遵守するよう定めた。

米サウスカロライナ大学エイキン校ビジネススクールの謝田教授は、「中国当局は民営企業家と知識人の接近を警戒している」と分析した。「ジャック・マー氏が運営するこの大学は明の時代の東林党と似ている。共産党は認められないだろう」

東林党とは、明朝末期、在野の学者を中心に組織した政治集団のことで、官界の外にあって反政府的な一大勢力をなした。政界に大きな影響を与えたが、党争を繰り返し、明朝滅亡の一因にもなった。

(大紀元日本ウェブ編集部)

 

 

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