中共によるウイグル人弾圧は「ジェノサイド」 リトアニア議会が認定
バルト三国であるリトアニアの議会は5月20日、中国共産党によるウイグル人の状況を「ジェノサイド」として認定する決議を賛成多数で可決した。同決議はまた、中国共産党に対し香港版国家安全法を廃止するよう呼びかけた。リトアニアはカナダ、イギリス、アメリカ、オランダに続いてジェノサイド認定した5番目の国家となった。
決議案の起草者であるドヴィーレ・サカリーニ(Dovile Sakaliene)議員は「私たちは民主主義を支持します。なぜなら50年に及ぶ共産主義政権に統治された残酷な教訓を覚えているからです」と述べた。
リトアニアは1940年から1991年まで旧ソ連の支配下にあった。旧ソ連崩壊後はNATOの加盟国となり、共産主義国で起きている人権侵害行為に対して一貫して強硬な態度を示してきた。
この決議に対し、日本ウイグル協会は5月22日に公式ホームページ上で声明文を掲載、「リトアニア議会の議決を心より歓迎し、尽力してくださった議員の皆様に感謝する」と発表した。
日本ウイグル協会によると、同様の決議は、ベルギー、イタリア、オーストラリア等の国でも議論されているという。
リトアニアは、2019年7月の国連人権理事会で、ウイグル人に対する人権侵害で中国を非難する共同書簡に署名した国の一つ。2021年3月、中国が同問題で報復的な制裁を科した欧州高官10人の一人は、今回の決議の起草者であるサカリーニ議員が含まれる。
日本国内でも中国の人権侵害を非難する国会決議の成立に向けた動きがある。現在、ほぼすべての政党が国会決議に賛成の姿勢を示しており、今国会中の成立を目指している。
複数の国際人権団体は2018年までに、少なくとも100万人以上のウイグル族イスラム教徒が新疆の再教育収容所に収容され、洗脳や拷問を受けていると報告している。また、米シンクタンク「国際政策センター(Center For Global Policy、CGP)」の調査によると、中国政府の強制労働により、少なくとも57万人のウイグル人が新疆地方の綿花収穫に従事している。
(王文亮)