豪州を訪問中のリトアニアのランズベルギス外相は9日、威圧行為を強める中国共産党を「ルールに基づく国際秩序を破壊する者」と表現した。この課題に戦略的に対処するため、民主主義的価値を共有する国々の団結を訴えた。両国は中国共産党から貿易制裁を受けている。
ランズベルギス氏はペイン豪外相との記者会見で「豪州は、中国(共産党)が経済や通商を政治的な武器として利用してきた典型的な例だ」と指摘。「リトアニアも(貿易制限の措置を受ける)専属クラブに加わった」と述べ、制裁が他国にも拡大する可能性に懸念を示した。
さらに通商を武器化する中国共産党には「世界中の志を同じくする国々が政治的・経済的な圧力に屈せず、威圧行為に対抗するための手段や規制を持っていることを思い知らせる必要がある」と牽制した。
リトアニアは昨年、台湾の大使館に相当する代表機関「台湾代表処」の開設を認めると発表。台湾が欧州に置く代表機関として名称に初めて「台北」ではなく「台湾」の表記の採用を認めた。
これに対して、台湾を自国領土の一部と主張する中国共産党は猛反発。リトアニアとの外交関係を格下げしたほかリトアニア製品の通関手続きをしないなど圧力を強めている。
ランズベルギス氏は、中国共産党の差別的な貿易措置に対する欧州連合(EU)の世界貿易機関(WTO)への提訴に豪州が参加すると決定したことについても支持を表明した。
いっぽう、ペイン氏は欧州で緊張が高まるなかランズベルギス氏が訪問を決行したことは「非常に意義深い」と発言した。ウクライナで紛争が起きた際の豪州の対応については言及を避けた。メルボルンでは11、日米豪印「クアッド」の外相会合が行われる予定だ。
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