リトアニアが中共駐在員3名を追放 冷え込む両国の関係

2024/11/30 更新: 2024/11/30

バルト3国のリトアニア外交部は29日、在リトアニア共和国代理大使事務所の中共職員3人を「ペルソナ・ノン・グラータ(外交上好ましくない人物)」に指定し、追放することを発表した。指定した具体的な理由は明らかでないが、同部は職員3人がウィーン条約およびリトアニア共和国の法律に違反した活動に関与していたと表明している。

在リトアニア共和国代理大使事務所の中共職員は、1週間以内にリトアニアを離れるよう指示された。

また27日には、リトアニアがスウェーデンおよびフィンランドと共同で調査チームを設立し、欧州検察機関(ユーロジャスト)の支援を受けて、「海底ケーブル断線事件」を調査していることが明らかになった。

17日と18日に、スウェーデンの排他的経済水域(EEZ)内で海底通信ケーブル2本が断線して事件に中国の貨物船「伊鵬3号」が関与している疑惑が浮上した。

当時、「伊鵬3号」は断線が発生した海域を航行している際、約160キロメートル以上にわたって錨(いかり)を引きずっており、事件の現場付近で速度を落とし、異常な航路を取っていたことが確認されている。

その後、「伊鵬3号」がスウェーデンの水域を離れてデンマークの水域に入った後、デンマーク海軍のパトロール船が追尾を開始し、同国のユトランド半島沖のカテガット海峡に停泊させた。捜査当局によると、同船の錨にケーブルを切断したことを示す損傷が見つかったと報告されている。

「伊鵬3号」は事件数日前の15日にロシアのウスチ・ルガ港を出港しており、船長がロシアの情報機関によって破壊工作を実行するよう仕向けられた可能性も捜査の焦点となっている。

リトアニアと中共の関係をめぐっては、2021年にリトアニアの首都に「駐リトアニア台湾代表処」を開設。欧州で初めて「台湾」の名称を使用した事実上の大使館で、中共はこれに強く反発し、リトアニアと中共の関係は急速に悪化した。

中共はリトアニアとの外交関係を格下げし、大使館を代理大使事務所に一方的に変更したほか、リトアニア製品の輸入制限などの経済的圧力を加え、多国籍企業にリトアニアとの関係を断つよう圧力をかけた。

これを受け、台湾はリトアニア製品の購入や投資を通じて同国を支援。EUは中共のリトアニアに対する貿易制限措置を世界貿易機関(WTO)に提訴した。

リトアニア以外でも、今年に入って中共大使館の職員が国外追放となる処分を受けている。

フランス紙『Le Monde』の7月の報道によると、フランス外交省は、在仏中共大使館の幹部と職員らが反体制派の中国人を強制的にフランス国外に連れ出そうとしたため、フランス大統領府によって、中共大使館の幹部と職員らに対して、国外追放命令が出されたことを認めた。

李皓月
関連特集: 国際