インド 極超音速ミサイル試射成功

2024/12/31 更新: 2024/12/31

インド極超音速ミサイルの試射に成功し、先端兵器を保有する数少ない国の仲間入りを果たした。専門家によれば、この国内で開発された先進技術は、インドに地域の競争相手に対する戦略的な優位性をもたらし、中共が無視できず、不安を感じることになるとしている。

11月17日、インドは、オディシャ州の海岸で初めて国産の極超音速ミサイルを成功裏に発射したと発表し、アメリカ、ロシア、中国に次ぐ極超音速ミサイルの保有国となった。

インド政府は声明を発表し、このミサイルは国防研究開発機関(DRDO)によって開発され、さまざまな効果的な弾頭を積載でき、射程は1500キロメートルを超えると述べた。インドの国防大臣ラジナート・シン氏は、「これは歴史的な瞬間であり、この技術の進歩により、我が国は軍事技術の分野で先進国の仲間入りを果たした」と述べた。

現在のミサイル技術において、極超音速ミサイルは最先端の技術だ。極超音速ミサイルは音速の5倍を超える速度を持ち、非常に高い機動性を誇る。飛行軌道は低く、飛行中に攻撃目標を調整することができ、通常の弾道ミサイルよりも追跡や迎撃が難しい。

日経ニュースは12月27日、防衛・戦略問題の専門家でオンライン防衛ニュースサイト「Defence.Capital」の編集者であるN.C.ビピンドラ氏が、極超音速ミサイルの実験は、インドが隣国である中国共産党(中共)とパキスタンに対する戦略的優位性を獲得するためのさらなる一歩であるとの見解を示したと報じた。 

ビピンドラ氏は、試射の成功により、インドが中国と匹敵する能力を獲得しただけでなく、パキスタンの防空能力を突破することも可能になったと述べた。

インドの国家安全保障と外交政策を研究する独立シンクタンクNatStratの上級研究員ラジ・クマール・シャルマ氏は、極超音速ミサイルはその速度、精度、射程距離、短い反応時間、迎撃の難しさなどから、あらゆる紛争においてゲームチェンジャーとなる可能性があると指摘している。また「それらは、高速かつ予測不可能な飛行経路で敵の防御システム、特に防空システムを攻撃する」と述べた。

一方で、ビピンドラ氏は「インドを含むすべての国は、極超音速技術に関してまだ多くの取り組むべき作業があるものの、その進展は確実に見られている」と付け加えた。

ビピンドラ氏はさらに、インドがその極超音速能力を示すことで、中共に対して無視できないメッセージを送っていると述べた。

Pune-based Strategic Research and Growth Foundationの顧問委員会メンバーであるウマ・スディンドラ氏は、インドが2000年代以来、極超音速ミサイルプログラムに投資していると述べた。

ウマ・スディンドラ氏は「インドの試射は、インドが戦略的能力を多様化し、伝統的な戦闘優位性を強化することで抑止力を高める方向に向かっていることを示している」と語った。

2024年初め、中印はインドの最北部に位置するラダックの領土問題で和解に達し、4年以上続いた軍事的対立を終結させた。ビピンドラ氏は、インドが「北京に対抗するための軍事能力を引き続き発展させる」と述べた。

ビピンドラ氏は「インドは中国(共産党)を信頼できない。現在の両国関係の改善は一時的なものに過ぎない」とした上で「中国(共産党)は特に習近平が権力を握っている限り、また新たな冒険を試みるだろう。インドは中国(共産党)のいかなる冒険的な行動にも対抗できるよう、最高の軍事技術を備えておく必要がある」と発言した。

前アメリカ戦略司令部の司令官ジョン・ハイテン大将は、他の遠距離攻撃手段が拒止などの要因で使用できない場合、極超音速兵器は遠隔地にある厳重に保護された、あるいは一刻を争う標的を迅速に攻撃することができると言及した。

近年、インドはアメリカ、日本、オーストラリアと共に「クアッド(日米豪印戦略対話)」メカニズムを設立するなど、西側諸国との軍事協力を強化している。

その他、アメリカ、ロシア、中国に加え、北朝鮮、イラン、日本、イスラエル、韓国、ブラジルなども極超音速兵器の開発に力を入れていると報じられている。

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