習近平に三大政治危機 党内闘争 民間組織 軍部の動揺

2025/04/15 更新: 2025/04/15

中国共産党の高層部では、権力闘争の噂が絶えず、その激しさを増していた。このような状況の中、党首・習近平は深刻な政治的危機に直面し、内部情報によれば、この危機は、以下の三要素から構成され、すなわち、①民間の「灰色組織」の台頭、②党内左右派閥の結束による反習運動、そして③軍部における習派の中核人材に対する粛清であった。

公安部警告 民間灰色組織の急増

オーストラリア在住の法学者・袁紅冰氏は、中国公安部が、2025年4月初旬に省部級以上の幹部向けに送付した内部参考資料の内容を紹介した。それによれば、2025年第1四半期に全国各地で「灰色組織」の数が急増し、「同窓会」「退役軍人戦友会」「農民工互助会」などの民間集団が次々と形成され、当局は、これを重大な警戒対象としている。

公安部は、内部資料の中で、これらの組織が集会を通じて、中国社会および政治方針に対する不満を広く表明している点に着目し、仮に、米中関税戦争がさらに激化し、経済状況が悪化すれば、こうした灰色組織が、

「社会安定を脅かす政治組織へと変貌する可能性が高い」との、見解を示した。

党内の左派と右派閥が結束して反習運動

習近平が直面する困難は、社会領域にとどまらず、中国共産党内部でも顕在化して、党内では、かつて対立していた左派と右派の二大派閥が、現行の政治路線への反対という共通目的のもとに結束を見せていた。

袁紅冰氏は、大紀元に対して以下のように述べている。「鄧小平の息子・鄧樸方(とう ぼくほう)や、元共産党長老・陳雲の息子・陳元を中心とする太子党は、鄧小平の改革開放路線への回帰を目指し、彼らは、習近平が鄧小平の『韜光養晦(とうこうようかい:自分の才能や本心・実力をあえて表に出さず、静かに時機をうかがうこと)という外交理念から逸脱したことで、経済と外交の両面において、国家を危機に追い込んだと批判した」

この派閥は、現在の政策路線を強く非難し、その転換を要求している。

一方、極左の毛沢東主義派も独自の動きを見せている。彼らは「紅歌会」や「毛沢東主義研究会」などの合法的な活動を通じて、文化大革命時代の政治路線への復帰を主張していた。また、習近平を「帝国主義に屈した指導者」と断じ、現在の困難の元凶と位置付けていた。

袁氏によれば、イデオロギーの差を超えて、これら両派は、習近平の政策に対する批判という一点で「戦略的同盟」を形成していたのだ。

関係筋の情報では、両派閥は、それぞれ重要な政治文書の作成を進めており、2026年までに公開する予定である。両派の目的は「習近平の第21回党大会での再選を阻止し、政策主導権を奪うこと」にあるとされる。

軍部で習派「鉄三角」が崩壊 1300人以上の軍官が告発される

最も劇的な変化は軍部で進行中だ。

中国共産党軍部のNo.3である中央軍事委員会副主席・何衛東(かえいとう)は、3月11日の全国人民代表大会閉幕以降、公の場から姿を消した。

英国の『フィナンシャル・タイムズ』は、4月10日に複数の情報源から得た情報として、何氏が免職され、現在調査を受けていると報じた。

何衛東は、元政治工作部主任の苗華、そして習近平の側近・鍾紹軍とともに「鉄三角」と呼ばれる軍内権力中枢を形成していたが、現在この三者は調査対象となるか、または影響力を失った。これにより、習近平が築いてきた軍内基盤は深刻な損傷を受けたと言う。

苗華は2023年11月に調査の対象となったが、当局はその後の処理内容を公表していない。

袁紅冰氏の話では、苗華は、拘束初日に精神的に崩れ、徹夜で自白を繰り返した結果、初期段階で80人以上の軍関係者を名指しで告発した。その後も3人の秘書と連携して、合計1300名以上の軍職関係者(うち約100名が上将・中将級の高官)に関する情報を提供したと言う。

それらの軍官の多くが、習近平またはその側近によって登用された人物であった。

評論家・蔡慎坤は、自身のメディア番組において、中共軍内の反腐敗運動について言及し、「当初の標的は軍No.2の張又侠であったが、4月以降は、習近平の側近ばかりが調査対象になっている」と指摘した。

袁氏の情報によれば、「苗華からの証言を知った習近平は、一夜にして白髪になった」とされ、今回の軍内粛清の規模とその衝撃が、予想を上回ったことを物語った。

程木蘭
駱亞
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