朝食を上手にとることは、ダイエットにも、血糖値の安定にも有効です。(Shutterstock)
「朝食ぬき」は、なぜ太りやすいの?

ダイエットの手始めは「朝食を上手に食べること」

健康な一日は、適切な朝食から始まります。朝食をとらないと、かえって太りやすくなったり、午前中の仕事に集中力が出なかったりと体調を崩しやすいもの。漢方医師・杜美賢氏が、ダイエット効果も高く、血糖コントロールにも役立つ「朝食のとり方」をご紹介します。

「朝食ぬき」は、なぜ太りやすいの?

日本の力士は、朝食をとらないで毎朝の猛稽古に臨んでいます。それは稽古後の食事を大量に食べて体を太らせる必要があるからですが、もちろん力士だからこそ求められることで、一般の人にあてはまるものではありません。ただ、朝食をぬいて、その分を後でたくさん食べることは「太るための方法」であることは、よく分かります。

人がもつ「生理時計」によれば、空腹感のピークは朝8時、昼12時、夜7時だそうで、もしもその時間にガマンして食べなければ、空腹感が無意識のうちに飢餓感となり、次の食事で大量に食べたくなります。そのため、特に朝食は「生理時計」に随い、起床後1~2時間以内に食べるようにしたいものです。

また、朝食を食べないことは、脂肪細胞の蓄積を促進します。食事をとらずに激しく運動した状態は、非常な空腹である上、血液中の糖を低下しています。低血糖は成長ホルモンの分泌を促しますが、そこへ大量の食物を摂ることで、さらに成長ホルモンの分泌が活発になり、組織脂肪が増えていきます。この生活スタイルを続けると、脂肪も蓄積し続け、確実に太ります。

朝食には「高タンパク質」のメニューを

朝食には、牛乳、脂肪分の少ない赤身肉など、良質なタンパク質を含む各種の食材を選んで、メニューに入れることをお勧めします。

栄養学の研究者は、肥満の青年が高タンパクの朝食を食べると、血糖値が安定し、体脂肪が減少することを発見しました。朝食を習慣的に食べない肥満の青年を対象に、タンパク質を普通に含むオーソドックスな朝食と、タンパク質を多くした特別朝食との違いを比較する実験を行ったところ、高タンパク朝食をとったグループは、その日の食事で摂取した総カロリーが400キロカロリー減るとともに、体脂肪量が減り、血糖値は安定していたといいます。

実験を行った研究者らによると、「朝食に35グラム相当のタンパク質を摂取すれば、体脂肪の増加を抑えながら、その日の食事摂取量を減らし、満腹感を得ることができる。血糖値も安定していた」。

血糖値が大きく変動すると、2型糖尿病になるリスクが高くなり、体重が急激に増加することがあります。したがって、この「高タンパク朝食」は毎日続けて食べるべきで、体の健康を守るだけでなく、理想的な体重を維持するのにも役立つと言えます。

起床後に飲む水は「ぬるま湯」がいい

朝起きて、喉が渇いているときは、どんな水を飲みますか。氷水、冷水、常温の水、温水。爽やかさを求めて氷水や冷水を飲んでいる人もいると思いますが、起き抜けに胃の温度を急激に変えるような冷たいもの飲むのは、決して良くありません。

起床後の、喉が渇いているときにまず口にする水は、ぬるま湯(温水)または常温の水がいいでしょう。これは食事にも言えることで、熱いスープや冷たい飲み物を交互に胃に入れれば、胃の変調や消化不良を起こしやすくなるので注意してください。

また、食事の前と後に、必要以上に大量の水分を摂ることも消化の妨げとなりますので、適量の水分補給で十分です。

朝食で炭水化物を減らすことは減量につながる

これは、あくまでも摂取する糖質を減らすという意味で、食べる炭水化物の食品をゼロにするというような極端な考え方ではありません。

高タンパクのおかずを十分にとりながら、主食であるご飯やパンを、無理のない程度に減らしてみてください。もちろん「朝食は、きちんと食べる」という原則は守らなければいけません。

ただ、なかには朝起きるとすぐに出勤しなければならず、朝食を作る時間がほとんどないという人もいるでしょう。それならば、ダイエットに関心のある人も、ない人も、前日の夜に、翌日の朝食を用意しておくことを提案します。

朝食が出来上がったら弁当箱に詰めて、冷蔵庫に入れておきます。朝ベッドから起きたときに冷蔵庫から出しておけば、洗面をしている間に常温に戻ります。つい寝過して時間がないときは、弁当箱に入れたまま持って出ましょう。あとで時間を探して食べます。

私(杜美賢)も、あっさりした味の野菜スープや、なめこのスープをよく作ります。保温カップに入れておくと、休憩時に飲むのに便利です。

さあ、今よりも体が健康で、体重が落ちたときの喜びを夢見て、まずは朝食の改善から始めてみてください。あなたのダイエット計画が成功することを、お祈りしています。

(文・杜美賢 翻訳編集・鳥飼聡)

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