【歌の手帳】若葉して
若葉して御目の雫(しずく)ぬぐはばや(笈の小文)
歌意「みずみずしい初夏の若葉が、御堂の周りに繁っています。その若葉をとってきて、もはや視力を失った和上のお目の涙を、わたくし芭蕉が拭いてさし上げとうございます」。
松尾芭蕉の句。『笈の小文』の旅で、奈良の唐招提寺を訪れた作者が、鑑真和上の尊像に向かって詠んだ、芭蕉名句中の名句です。
芭蕉がこの地を踏んだのは貞享5年(1688)4月。同じ年の9月から「元禄」という元号に変わります。ここで芭蕉は、約900年前の天平時代に仏教の戒律を伝えるため、招聘に応じて来日した唐の高僧・鑑真和上に「対面」しています。もちろんそれは鑑真の姿を映した漆像ですが、芭蕉は確かに、その閉じた両目に光る涙を見たのです。
(聡)
(読者の皆様へ)下のコメント欄へ、ご自作の「短歌」「俳句」をお寄せください。歌にまつわるお話も、ぜひお書き添えください。皆様とともに作り上げる、楽しいコーナーにしたいと願っております。なお、狂歌や川柳は、また別の機会とさせていただきます。お待ちしております!
関連記事
内なる不満を見つめ、愛を与える方法を通じて、心の癒しと新たな可能性を見出すヒントをご紹介します。
最新研究が脳損傷患者の意識の可能性を示し、医療や家族の対応に新たな光を当てます。
GoogleのAI「Gemini」が大学院生に不適切な発言をし、AI技術のリスクが改めて問題視された。企業の責任が問われる中、AIの安全性や倫理が注目されている。類似の事例も増え、技術の普及とリスクのバランスが課題となっている
健康な心血管を保つための食事、指圧、運動の実践方法を解説。心臓病予防のヒントが満載です!
専門医が語る乳がんリスクの主な要因と予防のポイントを解説。生活習慣の見直しで健康を守りましょう。