6月17日、香港警察は、香港国家安全維持法(国安法)違反の疑いで、香港紙「蘋果日報(リンゴ日報)」の幹部5人を逮捕したほか、500人態勢で本社編集局を捜索した。写真は連行される幹部(2021年 ロイター/Lam Yik)

香港紙幹部5人逮捕、国安法違反で 米欧が懸念表明

[香港 17日 ロイター] – 香港警察は17日、香港国家安全維持法(国安法)違反の疑いで、香港紙「蘋果日報(リンゴ日報)」の幹部5人を逮捕したほか、500人態勢で本社編集局を捜索した。

警察は幹部5人を外国もしくは外部勢力と結託した疑いで逮捕したと発表。逮捕者の氏名は明らかにしていない。

蘋果日報によると、午前7時半ごろに100人ほどの警官が新界にある本社に現れ、一帯を封鎖。編集長、最高経営責任者(CEO)、最高執行責任者(COO)など5人を逮捕した。

同紙オーナーで中国政府に批判的なことで知られる黎智英(ジミー・ライ)氏は既に国安法の下で資産を差し押さえられているほか、違法集会に参加した罪で服役している。

警察は捜索の目的について、記者の電話やコンピューターなどから証拠を集めるためと説明。2019年までさかのぼったところ、同紙の数十本の記事が国安法に違反した可能性があるとした。最新の記事がいつのものかは明らかにしなかった。

警察当局の李桂華高級警司は蘋果日報本社前で記者団に対し、「記事の性質は非常にシンプルだ。外国を駆り立て、香港や中華人民共和国への制裁発動を求めている」と述べた。メディアの記事が国安法違反に問われる可能性があると当局が指摘したのは初めて。

また、蘋果日報と関連する3社の資産1800万香港ドル(232万米ドル)を凍結したことも明らかにした。捜索はメディア業界全体を対象としたものではないとも語った。

今回の逮捕などについて、欧州連合(EU)と英国は、中国が治安対策ではなく、反体制派を取り締まり、メディアを沈黙させるために国安法を利用していることを示すと懸念。

米国務省のプライス報道官は、「香港当局が国安法を都合よく利用し、独立メディアを恣意的に標的にしていることを深い憂慮している」と指摘。「外国もしくは外部勢力との共謀容疑は完全に政治的な動機によるものだろう」と述べた。

*写真を付けて再送します。

6月17日、香港警察は、香港国家安全維持法(国安法)違反の疑いで、香港紙「蘋果日報(リンゴ日報)」の幹部5人を逮捕したほか、500人態勢で本社編集局を捜索した。写真は連行される幹部(2021年 ロイター/Lam Yik)
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