新型コロナウイルス(COVID-19)の立体構造(www.cdc.gov)

英米豪の研究者、ウイルス起源に新たな知見 「実験室漏洩は排除できず」

英米豪3カ国の研究者はこのほど、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の起源調査についてそれぞれ研究を行い、3つの知見を得た。いずれも他国に責任を擦り付けようとする中国にとっては不利な内容になっている。

英国の研究者は「ウイルスは武漢で初めて確認されたよりも2カ月ほど前から、既に中国国内で広がり始めていた可能性」を指摘した。豪州の研究者は「最も早期のコロナウイルスでも、ヒトへの驚くべき適応能力を示していることから、実験室から漏洩の可能性を排除できない」と結論を導き出した。米国の科学者は「中国の専門家が最初期の頃のウイルスサンプルを削除したことから、ウイルスの発生源を隠蔽しようとしているのではないか」と疑問視した。

英国の研究:ウイルスの発生は中国当局の公表時期よりも約2カ月も早い

英ケント大学の研究者らは、中共ウイルスの発生時期に関する調査を行い、解析作業を行った。その結果、ウイルスが発生したのは2019年10月初旬から11月中旬にかけてと推定した。発生時期としては11月17日の可能性が最も高く、20年1月にはおそらく全世界に広がっていたという。

この論文は、米科学雑誌「PLOS Pathogens」に掲載された。

中国当局が発表している初の感染確認は19年12月で、武漢の華南海鮮市場と関連があるとしている。しかし、初期の症例の中には、華南海鮮市場との関連を特定できないものもあった。

世界保健機関(WHO)と中国の専門家は、今年3月の武漢での調査後に、ウイルスは武漢で感染爆発する前にも、既に他の場所でウイルスが広がり始めていた可能性もあることを認めている。

米ウイルス学者:中国はウイルスの発生源を隠蔽するために、初期のサンプルを削除した

米フレッドハッチンソンがん研究センター(Fred Hutchinson Cancer Research Center)のジェシー・ブルーム(Jesse Bloom)氏はこのほど、中国で発生した中共ウイルスの初期感染例から削除されたゲノム配列の情報を復元したと公表した。

それによると、華南海鮮市場から採取されたウイルスのサンプルは、それ以前に中国の他地域に広がっていたウイルス配列の変種であることが分かったという。

ロイター通信によれば、中国の研究者は米国立衛生研究所(NIH)に対し、同所が管理する主要な科学データベースから、以前提出した中共ウイルス流行初期の遺伝子配列に関するデータの削除を要請していたと分かった。NIHは、要請を受け関連データを削除したという。

ロイター通信は、マサチューセッツ工科大学(MIT)とハーバード大学の共同研究所であるブロード研究所の研究者・アリナ・チャン(Alina Chan)氏の話を引用して、「なぜ中国の研究者はウイルスがどのように武漢で発生したのかを示す重要なデータの削除をNIHに要請したのか?」と報じ、隠蔽を図った可能性があると示唆した。

豪州の新発見:実験室漏洩の可能性を排除できない

オーストラリアの科学者が行った別の研究では、中共ウイルスは他のウイルスよりもヒトの受容体に結合しやすいことを発見した。つまり、ウイルスは最初に出現した時から、すでにヒトに適応できたことを示している。

同科学者のこの研究は、英科学誌「ネイチャー」の姉妹誌である学術誌「Scientific Reports」に掲載された。

今回の研究は、ヒトの受容体により近い、現在未確認の別の動物の宿主が存在する可能性があると示されたが、実験室による漏洩の仮説も排除できないとした。

(翻訳編集・李凌)

関連記事
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]
上川陽子外務大臣は、パナマ在留邦人及び進出日系企業関係者と昼食会を実施した。日・パナマ間の経済分野における協力の可能性や課題、教育などについて、意見交換を行った。