大紀元エポックタイムズ・ジャパン
大紀元エポックタイムズ・ジャパン

【歌の手帳】音もせで 

音もせで思ひに燃ゆる螢(ほたる)こそ鳴く虫よりもあはれなりけれ(後拾遺集)

歌意「音をたてて鳴くこともせず、その胸に秘めた恋の火にじっと耐えている螢よ。その姿は、鳴く虫よりもあわれをさそって、私にはいとおしく思われるよ」。

源重之(みなもとのしげゆき)の作。平安時代中期の歌人で、生没年など人物の詳細は分かりませんが、『小倉百人一首』の一首「風をいたみ岩うつ波のおのれのみくだけてものを思ふころかな」の作者として知られています。

暗闇の中、光る螢火(ほたるび)は、人知れず燃える恋の情熱にたとえられます。

歌中の「思ひ」の「ひ」は、作者の心の中で燃える恋の火の縁語(えんご)。つまり「火に燃ゆる螢」とも読めます。夏の夜の、音のない小演劇の一幕です。

(聡)

 

(読者の皆様へ)下のコメント欄へ、ご自作の「短歌」「俳句」をお寄せください。歌にまつわるお話も、ぜひお書き添えください。皆様とともに作り上げる、楽しいコーナーにしたいと願っております。なお、狂歌や川柳は、また別の機会とさせていただきます。お待ちしております!

関連記事
迷走神経を刺激することで、自己免疫疾患の症状改善や心身の健康向上が期待できる方法とは?深呼吸やtVNSなどのアプローチを紹介します。
孔雀と鶴の物語が教えてくれる、見た目よりも大切な「役立つこと」の価値。イソップ寓話から学ぶ教訓が心に響きます。
耳や顔、手に現れるサインが心血管疾患のリスクを示すことがあります。中医学に基づく健康チェックと予防法を解説。健康管理に役立つ情報が満載です。
都市開発で失われた故郷の村を、母と息子が裏庭に再現。20年以上かけて築かれた小さな村は、今や訪れる人々に安らぎをもたらす癒しの空間となっている。
コレステロールは健康維持に不可欠な物質であり、摂取量よりも体内での処理と管理が重要です。炎症や肝機能、生活習慣の改善が鍵を握ります。