【歌の手帳】音もせで
音もせで思ひに燃ゆる螢(ほたる)こそ鳴く虫よりもあはれなりけれ(後拾遺集)
歌意「音をたてて鳴くこともせず、その胸に秘めた恋の火にじっと耐えている螢よ。その姿は、鳴く虫よりもあわれをさそって、私にはいとおしく思われるよ」。
源重之(みなもとのしげゆき)の作。平安時代中期の歌人で、生没年など人物の詳細は分かりませんが、『小倉百人一首』の一首「風をいたみ岩うつ波のおのれのみくだけてものを思ふころかな」の作者として知られています。
暗闇の中、光る螢火(ほたるび)は、人知れず燃える恋の情熱にたとえられます。
歌中の「思ひ」の「ひ」は、作者の心の中で燃える恋の火の縁語(えんご)。つまり「火に燃ゆる螢」とも読めます。夏の夜の、音のない小演劇の一幕です。
(聡)
(読者の皆様へ)下のコメント欄へ、ご自作の「短歌」「俳句」をお寄せください。歌にまつわるお話も、ぜひお書き添えください。皆様とともに作り上げる、楽しいコーナーにしたいと願っております。なお、狂歌や川柳は、また別の機会とさせていただきます。お待ちしております!
関連記事
中国古典舞踊の最高峰・神韻芸術団は20日に来日。待望の2025年神韻世界巡回ツアーが23日に日本の名古屋で開幕する。
肩の柔軟性と筋力を高める6つのエクササイズを実践すれば、可動域を改善し、肩こりや日常の不快感を和らげる効果が期待できます。
白キクラゲやレンコンをはじめ、免疫力を高める10の食材を紹介。伝統医学と現代科学が推奨する抗炎症効果で、肺を潤し冬を快適に過ごす方法を提案します。
新たな研究により、男性における自閉症の発症リスク上昇には、Y染色体が関与している可能性が示されました。男性では自閉症が女性より約4倍多く見られる一因として、Y染色体が自閉症リスクを特異的に高めていることが明らかになっています。
朝食のタイミングを調整することで、2型糖尿病の血糖値管理が改善する可能性があることが新しい研究で明らかに。運動と食事のタイミングが血糖値に与える影響を探ります。