中国国有企業幹部、85歳の学者ら2人に暴行 学会の入会推薦巡り
国有企業である中国航天科技集団(CASC)傘下の投資会社のトップ、党書記兼会長である張陶氏(57)は先月、国際学会への入会推薦をめぐって、85歳の女性を含む専門家2人を殴り、重傷を負わせた。3日、暴行映像と報道がネット上で拡散され、大きな話題を呼んだ。
複数の中国メディアによると、張氏は6月6日、自社の宇宙投資に関する報告を口実に、国際宇宙航行アカデミー(IAA)の会員2人を招いた。夕食の席で、張氏は2人に、自分がIAAに入会する際の推薦者になってほしいと頼んだ。IAAは、1960年に宇宙開発のパイオニアたちによって設立された権威ある国際アカデミーである。
出席した学者の一人は、初対面では張氏の業績を知らないので、後でゆっくり考えたいと答えた。しかし、張氏はこの反応に激怒し、学者を殴り始めた。もう一人の先輩女性学者は、この状況に驚き、すぐに部屋を出ようとした。
ネット上に流出した監視カメラの映像によると、同日午後10時半頃、張氏と会社の部下が2人の学者を外に連れ出し、エレベーターに乗る前に張氏が突然2人を殴り始めた。暴行は30分ほど続いた。
暴行を受けた55歳の男性、王晋年氏は、2016年にIAAの会員となり、2017年にIAAの議長団に選出された。もう一人、85歳の女性学者である呉美蓉氏は、2014年にIAAの最高賞であるフォン・カルマン賞を受賞した。
現在、2人の専門家は重傷を負い、入院している。
最新の情報によると、世論の圧力を受けて、CASC社は4日の声明で、調査に協力するために張氏が停職中であることを発表した。しかし、事情に詳しい関係筋によると、事件後、地元警察が捜査に介入したが、まだ結果は出ておらず、張氏は今も通常通り仕事をしているという。
報道によると、中国共産党員で博士号取得者の張陶氏は、現在、CASCの子会社である中国航天投資控股有限公司(CAIH)の党書記兼会長を務めている。CAIHは2006年に設立され、登録資本金は120億人民元(約2060億円)、運転資本金は2240億人民元(約3.8兆円)。
(翻訳編集・王君宜)