「接種済みでも陽性」の入国者、多くは中国製ワクチン=韓国
韓国は、特定のワクチンを接種した人の入国後の隔離を免除する制度をとっている。しかし、最近、中国医薬集団(シノファーム)製のワクチン接種者は高い割合で陽性反応が出ることから、免除するワクチンの適用対象外にするべきだとの声が上がっている。韓国で新型コロナウイルス感染者数が連日、最多記録を更新している。
韓国・中央事故収拾本部は14日、7月入国者1万4305人のうち10人が、入国後1日以内に実施したPCR検査で陽性だったと発表した。韓国・嘉泉大学キル病院のサム・ハンシク教授(感染内科)は「10人は少数だが、追加で感染する可能性が非常に高いという点が重要だ」「隔離免除措置について再検討しなければならない」と現在の指針に懸念を示した。
いわゆる「中国製ワクチン」の有効性に対する論争も絶えない。中国の製薬会社シノバックおよびシノファーム製のワクチンは、世界保健機関(WHO)の緊急使用承認の際、感染予防効果がそれぞれ78%、51%を示し、米ファイザー製(95%)、米モデルナ製(94.1%)ワクチンと比べて予防効果が低かった。この2種類のワクチンを大量接種したモンゴル、バーレーン、チリなどでは最近、感染者が急増している。特に、中国製ワクチンはデルタ株などの変異種にどの程度効果があるのかについて、公式に確認されたデータはない。
また、韓国・疾病管理庁中央防疫対策本部によると、隔離免除を受けて入国後に10人が陽性判定を受け、そのうち5人が中国シノファーム制ワクチンを接種していた。韓国国内からは、隔離免除制度の「暫定的な中断」を要求し、中国製ワクチン接種者を対象から除外すべきだという意見が強まっている。
韓国政府は現在、隔離免除の見直しについて「時間が必要」との立場だ。韓国・中央事故収拾本部のソン・ヨンレ社会戦略班長は15日、「海外ワクチン接種者の隔離免除制度のリスク評価が必要だ」と述べるにとどまった。
専門家らは、中国製ワクチンを多く接種しているアラブ首長国連邦やモンゴルなどからの入国者を制限すべきだと口をそろえる。韓国・梨花女子大学病院のチョン・ウンミ教授(呼吸器内科)は「(感染)輸入の事例が中国製ワクチンを接種した国で多く発生している」とし、隔離免除の中断にリスク評価が必要だという韓国政府の説明に対しては、「さらに拡散して事例が増えた後に措置を取れば、手遅れになる」と警告した。
いっぽう、韓国の新規感染者数は15日に1600人に達し、2019年の感染拡大以来、連日最多記録を更新した。このうち、ソウルを中心にした首都圏の割合は70.6%で、韓国政府は新たな「ソーシャル・ディスタンス」政策を実施した。昼の時間帯には5人以上、夕方の6時以降は2人以上の私的な集まりを禁止した。違反すれば、罰金10万ウォン(1万円相当)を払わなければならない。
(編集・潤水)