米テキサス州の連邦地裁は7月16日、幼少期に親に連れられて米国に不法入国した若者「ドリーマー」の強制送還を猶予する措置「DACA」について、2012年に当時のオバマ大統領が議会の手続きを経ずに大統領令で同措置を導入したことは権限を超えていたとし、違法との判断を下した。写真はバイデン大統領。ホワイトハウスで8日撮影(2021年 ロイター/Evelyn Hockstein)

米連邦地裁、移民救済措置は違法と判断 バイデン政権は控訴へ

[ワシントン 17日 ロイター] – 米テキサス州の連邦地裁は16日、幼少期に親に連れられて米国に不法入国した若者「ドリーマー」の強制送還を猶予する措置「DACA」について、2012年に当時のオバマ大統領が議会の手続きを経ずに大統領令で同措置を導入したことは権限を超えていたとし、違法との判断を下した。

訴訟はテキサス州をはじめとする複数の州が共同で提起していた。バイデン大統領は17日、地裁の判断は「非常に不本意」だと述べ、DACA保護に向けて司法省が控訴すると表明した。また、移民問題を管轄する国土安全保障省が近く、DACAの法的地位を強化するために新たな規制を打ち出すと明らかにした。

同地裁はDACA導入時の手続きは連邦行政手続法に違反すると判断した。同措置の適用を受けている人は65万人近くと多いため、今回の違法の判断は一時的に保留するとしながらも、新規申請の受け付けを停止するよう命じた。

バイデン氏は「同裁判所の命令は現在のDACA受益者に現時点で影響しないが、何十万人もの若い移民の将来を不確かなものにする判断だ」と非難した。

その上で、ドリーマーに米市民権取得の道を開くことで恒常的な問題解決を図れるのは議会だけだと強調した。

民主党は同党単独の3兆5000億ドル規模のインフラ投資法案にドリーマーの市民権取得に向けた措置を盛り込み、「財政調整措置(リコンシリエーション)」を使って単独で可決するとみられている。

バイデン氏は「議会がリコンシリエーションあるいは他の手段を用いて、あまりにも長く恐怖の中で暮らしてきた全てのドリーマーに安心を与えることを切に願う」と訴えた。

マヨルカス国土安全保障長官は、今回の地裁判断によってバイデン政権のドリーマー保護の取り組みが頓挫することはないと表明。判断に沿って、DACAの滞在資格更新申請の処理を継続すると述べた。

トランプ前大統領は2017年にDACA廃止を打ち出したが、連邦最高裁は昨年、撤廃は「恣意(しい)的で一貫性がない」ため、連邦行政手続法に違反するとして認めなかった。

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