河南省鄭州市、トンネルでの行方不明者探しの投稿100件以上、4人死亡の当局発表に疑問の声
河南省鄭州市当局は24日、豪雨で浸水した市内のトンネルから265台の車を引き上げ、「死亡者は4人」と発表した。一方、ネット上の行方不明になった家族や友人を探すネット投稿は100件を超えていることから、実際の死亡者数は政府の発表を大幅に超えるとの見方が出ている。
中国中部・黄河のほとりにある河南省鄭州市では、最近の集中豪雨とダムの放水により、街全体が水没し、一面の海と化した。全長2キロ弱の京広北路トンネルは同市の主要幹線道路の一つで、瞬時の増水で多数の車両が立ち往生してたまま水没した。
河南省当局の発表によれば、今回の豪雨による死亡者は63人、行方不明者は5人となっている。また24日、水没したトンネル内から合計265台の車両を引き上げ、4人の遺体を引き上げたとし、死亡者数について「確認中」と言葉を濁している。
しかし、当局による公式の死亡者数は、信ぴょう性が疑問視されている。
中央社フォーカス台湾の25日付の報道によると、河南省の市民がウェイボー(微博)で立ち上げた「豪雨助け合いプラットフォーム」では、情報を求めている行方不明者の人数は130人に達したという。ほとんどが鄭州の市民となっている。
行方不明者の家族や友人は失踪者の写真をアップし、身体的特徴や失踪当日の足取りなどを説明している。
短編動画アプリ中国版TikTok「抖音」などにも家族や友人を探す市民のメッセージがあふれている。こちらもほとんどが鄭州市民による投稿だ。
現在、京広北路トンネル周辺にすでに中国軍が派遣され、地元政府の救助隊員は撤退した。また、地元警察当局は、トンネル付近で警戒線を張り、市民の立ち入りを禁止した。現場で捜索を見守る市民たちも追い払われている。
当局による厳しい情報封鎖により、トンネル内の死者数に関する各種情報があふれている。100人以上から数千人まで、様々な噂が飛び交っている。
当局は死亡者数を疑問視する投稿を削除している。地元市民が遠くから撮影した捜索・救助の様子などは、ネット上に拡散し続けており、市民の関心の高さがうかがえる。
地元のネットユーザーが投稿した動画の中には、救助隊が遺体を運び出す場面や、深夜に出入りする密閉されたダンプカー、トンネルから引きずり出される黒い布に覆われた連節バス、深夜に遺体を運搬していると思われる大型トレーラーが現場で動く様子などが映し出されている。
一方、被災状況が深刻な同省農村地域では、通信不良により救援メッセージの発信は困難な状況にある。
ネット上に流れる一部の救助メッセージによれば、河南省の新郷、鶴壁、安陽など市の農村部の住民は何日も屋根の上や山の中で立ち往生しているという。中には、5日間も洪水に囲まれた村もある。
農村部ではダムの放水や洪水で道路が寸断し、救助が遅れている。そのため、多くの村で食料や水が底を尽いたという。
(翻訳編集・李凌)