ノーベル財団のロゴ(OLIVIER MORIN/AFP via Getty Images)

中国による「科学界へのいじめ」を非難、ノーベル賞受賞者100人以上が共同声明

米科学誌「サイエンス」のウェブサイトは27日、世界各国の100人を超えるノーベル賞受賞者たちが中国政府による「科学界へのいじめ(bully the scientific community)」を非難する共同声明を発表したと報じた。

今年4月26~28日まで、ノーベル財団(Nobel Foundation)と米国科学アカデミー(NAS)は、ノーベル賞受賞者のビデオサミットを開催した。中国大使館はサミット前に、米国に圧力をかけて、チベットの精神的指導者であるダライ・ラマ14世や、台湾の科学者の李遠哲氏をサミット参加者リストから削除し、彼らの発言を禁じるよう求めた。

ダライ・ラマ14世は1989年のノーベル平和賞受賞者で、李遠哲氏は1986年の化学賞受賞者である。

NASの広報担当者であるWilliam Kearney氏はサイエンス誌に対し、中国大使はサミットの前夜に同アカデミーのスタッフに電話をかけ、またサミットの前日にもメールの中で同要求を繰り返し念押ししていたと明かした。

同氏は「しかし、同アカデミーは中国の指示に従わなかった」と述べた。

28日の定例記者会見で、この件に関して尋ねられた中国外務省の趙立堅報道官は、「それについては知らない」と回答した。

ノーベル賞受賞者たちは共同声明の中で、中国政府にはサミットの参加者リストを検閲する権利はないと指摘した。

共同声明の段取りをした英国の生化学者のリチャード・ロバーツ(Richard Roberts)氏は、中国政府がその政治的検閲を停止するまで、自分は中国のいかなる科学会議にも出席しないと述べた。

4月に開催されたノーベル賞ビデオサミットは、2度にわたるサイバー攻撃を受けていた。それにより、会議の映像伝送が中断された。

「2度にわたるサイバー攻撃が、中国大使館が提出した要求と関係しているかどうかにかかわらず、我々は中国政府が検閲し、科学界をいじめていることに対して非常に不満を感じている」と共同声明の中で述べている。

(翻訳編集・李凌)

関連記事
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]