2021年8月1日、東京2020オリンピックのバドミントン女子シングルス決勝戦で、台湾の戴資穎(タイ・ツーイン)選手と対戦した中国の陳雨菲(チェン・ユーフェイ)選手(LINTAO ZHANG/POOL/AFP via Getty Images)

五輪中「出征討伐」する小粉紅 中国金メダリストも被害「プレーに迫力ない」

東京五輪が始まって以来、物議を醸し出す中国の小粉紅(若い世代の民族主義者)。「キーボード戦士」と化した彼らはネット上で、中国の「ポリコレ」(政治的正しさ)に触れた者は誰であっても見つければ、噛み付いていく。外国選手だけでなく、中国選手もヤリ玉に挙げられている。

台湾を「国」として扱ったという理由で、台湾の歌手ジョリン・ツァイ(蔡依林)さんや、人気タレントの小S(シャオエス、徐熙娣)さんなどが攻撃の標的となっている。

ドイツの卓球名手のドミトリー・オフチャロフ選手も、台湾の林昀儒選手との記念写真をアップし、投稿文に「Taiwan」の文字があったために、小粉紅の攻撃に遭った。その結果、オフチャロフ選手は自身のSNSアカウントによる投稿から「Taiwan」の文字の削除を余儀なくされた。

中国当局と国際オリンピック委員会の取り決めで、台湾チームは「チャイニーズタイペイ」の名称で出場している。

小粉紅に標的にされたのは外国人選手だけでなく、中国出身の選手も被害を受けている。

今大会で中国初の金メダルを獲得した射撃女子10メートルエアライフルの楊倩選手は、中国SNSのウェイボー(微博)上で、「ナイキ」のスニーカーをコレクションしていた過去の投稿が掘り起こされ、非難の的となった。

彼女はすぐさま「なぜナイキを買って、中国のブランドを買わないのか?」などと非難され、罵声と批判の嵐が押し寄せてきた。一夜にして、楊氏は金メダルを獲得した英雄から、外国に「媚びを売る女子」というレッテルを貼られた。

「祖国を愛していないのなら、金メダルだけ残して、中国から出て行け」と批判する人もいれば、「決勝戦で使ったエアライフルはなぜ国産ではなく、ドイツ製なのか」などと難癖をつける人までいた。

楊氏はのちに問題となった投稿を削除した。

これを受け、英BBCは報道で、中国の民族主義が高まる中、金メダルを獲得できなければ「愛国心がない」と批判される。中国選手が抱えるストレスはピークに達しているとその境遇に同情した。

1日のバドミントン女子シングルス決勝で、中国の陳雨菲選手は世界ランキング1位の戴資穎選手と接戦の末、ようやく金メダルを手にした。

ソーシャルプラットフォーム上には、「陳のプレーは迫力がない」「対戦相手のミスに頼ってゲームに勝った」「強い攻撃に出ていない」「覇気が足りない」「見る価値がない」などと彼女のプレーを否定する小粉紅のコメントが多く寄せられていた。

台湾の著名評論家の周玉蔻氏は4日、自身のFacebookを更新し、東京五輪で小粉紅たちが「無差別攻撃」して血眼になるその様は、まさに「ネット版文化大革命」であると批判した。

また、「当時の若い世代の紅衛兵たちが中国をめちゃくちゃにした。そして、現在のこのオンラインスポーツ版の戦狼たちは、中国共産党を死の谷へと導くに違いない」と周氏は書き残した。

中国SNSの微博で、小粉紅の「狼性」(誰にでも噛み付く性分)や「過度の期待」が中国選手に過剰なプレッシャーを与えていると批判の声が上がっている。

台湾のネットユーザーは「かわいそうに、金メダルを取っても言われなきゃいけない」

「銀メダルを取れば『中国への侮辱』と言われ、ディフェンスして金メダルを取っても『中国への侮辱』と言われる」

「批判闘争文化だ」

「陳選手の球技を褒めているのは台湾人ばかりで、中国人はいったいどうしたいんだ?」

「中国選手の敵は全世界だけではない、自国民も敵だ。恐ろしいことに、13億人もいる」などと書き残した。

小粉紅たちによる熱狂的なネットリンチをめぐり、台湾の時代力量党の立法委員である王婉諭氏は自身のFacebookを更新し、「中国の小粉紅は金メダルに対して執着を持っているだけでなく、『台湾』の二文字を見ただけで、彼らは飛び上がったり、発狂したり、心が折れそうになったりして、制御不能になる」と投稿した。

王氏はまた、「(台湾)文化省が述べたように『台湾では試合に負けたために謝罪する選手もいなければ、自国の選手を応援したために謝罪しなければならない芸能人もいない』。これこそが自由で民主的な台湾と中国の最大の違いだ」と指摘した。

(翻訳編集・李凌)

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