アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンが急速に勢力を拡大し、首都カブールに迫る中、欧米各国による文民退避や大使館閉鎖が相次いでいる。写真はタリバンの兵士。8月12日、ガズニ州の州都ガズニで撮影(2021年 ロイター/Taliban Handout/via REUTERS)

タリバン、数日中にアフガン首都到達も 米大使館は機密情報廃棄を指示

[カブール/ベルリン/パリ/コペンハーゲン/オスロ 13日 ロイター] – アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンが急速に勢力を拡大し、首都カブールに迫る中、欧米各国による文民退避や大使館閉鎖が相次いでいる。

タリバンは13日も進撃を続け、同国第2の都市カンダハルと第3の都市ヘラートを制圧。米政府高官によると、タリバンが数日以内にカブールに到達する可能性があるという懸念も台頭しているという。

米国防総省の報道官は13日、「現時点でカブールは差し迫った脅威にさらされていないものの、カブールを孤立させようとしていることがタリバンの動きから見て取れる」と述べた。

ロイターが確認した通知書によると、カブールの米大使館は職員に対し「大使館内にある機密情報を減らす」ために文書や電子機器などを廃棄する焼却炉の利用が可能と伝えた。

米国務省の報道官は「米国のフットプリントを最小限とする」通常の手続きと説明した。

ドイツのマース外相は、カブールの独大使館の職員を最小限に減らし、セキリュティを強化すると発表。さらに、大使館職員や現地の支援スタッフらの国外退去に向けて月末に計画していたチャーター機の派遣を前倒しする方針を示した。

フランス外務省もアフガンに滞在する仏国民に対し、できる限り早い時期に出国するよう改めて要請した。

デンマークとノルウェー両国は、現地の治安情勢悪化を踏まえ、カブールの大使館を閉鎖し、職員らを退避させると発表した。

米国と英国も12日、大使館職員ら文民の退避のため数千人の軍部隊を派遣すると発表した。

国連は職員をアフガンから退避させないとしつつも、一部職員を国内でカブールから別の地域に移動させる方針を示した。

グテレス国連事務総長は「軍事力行使による権力掌握に勝ち目はない。内戦の長期化もしくはアフガンの完全な孤立化にしかつながらない」とし、タリバンに対し即時攻撃をやめるよう呼び掛けた。

アフガンのサレー第1副大統領はガニ大統領が議長を務める安全保障会合後、政府軍の能力を評価し、政権がタリバンに対抗するためにあらゆる手段を講じると表明した。

また、治安筋によると、北大西洋条約機構(NATO)は13日に緊急会合を開催し、アフガンの情勢悪化を巡り協議した。

関連記事
最近、バルト海にある二本の重要な海底ケーブルが損壊し、ドイツ、スウェーデン、フィンランド、リトアニアの四か国が […]
米国議会は中国の最恵国待遇の取り消しを提案。AI技術競争において優位を目指す「AIマンハッタン計画」も始動。中国経済への影響が注目される
トランプ次期大統領は緊急事態宣言を準備し、不法移民の強制送還計画を発表した。計画では特に中国籍の兵役年齢の男性を優先している
米司法省は最近、IR事業をめぐり日本の政府関係者に賄賂を渡すよう指示して、中国企業のCEOを海外腐敗行為防止法違反の容疑で起訴した。
豪州初の女性宇宙飛行士ベネル=ペッグ氏は、シドニーの会議で「宇宙には地球上の砂浜の砂粒に例えるほどの恒星があり、生命の存在は確実だ」と語り、太陽系内外での地球外生命探査の可能性に期待を寄せた。「宇宙での発見は生命の理解を深める貴重な手がかりになる」と強調。