リトアニアの「台湾代表処」開設に中国が反発 連鎖反応危惧か

東欧リトアニアは8月、台湾との間に出先機関の開設を決定した後、中国との関係が悪化した。リトアニアと中国は9月3日、双方の大使を呼び戻した。中国が反発する背景には、台湾問題が連鎖反応を引き起こし、さらに多くの東欧国家が中国との「17+1」協力枠組みから離脱することを懸念しているとみられる。リトアニアは5月、同枠組みから脱退した。

リトアニアが首都ビリニュスに開設する台湾の出先機関の名称を「台湾代表処」に決定したことも、中国政府の不興を買った。他の欧州諸国では「台北」の名を冠した名称が使用されている。

EU各国がリトアニアを支持

EU諸国の中国大使数十人が3日、中国を発つ前のリトアニア大使ダイアナ・ミクビシアン氏を見送り、その際に撮影した全員の記念写真を公開した。リトアニアへの連帯を示すためだとAP通信が報じた。

リトアニアのランズベルギス外相は同日、EU(欧州連合)とNATO(北大西洋条約機構)に対し、一致団結して中国に対処し、各国の対中政策を見直すよう提案したと明らかにした。

EUの立法機関である欧州議会は1日、「EUと台湾の政治関係と協力」というテーマの初の報告書を可決した。台湾はEUにとって、インド太平洋地域での重要なパートナーと民主的盟友であることを確認し、「一つの中国」という原則のもとで台湾とより緊密で強いパートナーシップを確立することを明示した。

欧州議会外務委員会も同日、改正案を可決し、台湾にあるEUの外交事務を担う「欧州経済貿易事務所(European Economic and Trade Office)」の名称を「駐台湾EU事務所(European Union Office in Taiwan)」に変更することを提案した。

連鎖反応を恐れる中国

リトアニアは最近、中国に対して強硬な姿勢を見せている。今年初め、中国の習近平国家主席が「17+1」枠組みメンバー国のサミットを主催した際、リトアニアのナウセーダ大統領は欠席し、5月には「17+1」からの離脱を発表した。中国が「17+1」を利用してヨーロッパを分裂させるのを防ぐために、リトアニアは、EU加盟国27カ国が「27+1」枠組みで一致団結して中国に対処すべきだと提案した。

中国政府は、他のヨーロッパ諸国がリトアニアに追随し、台湾との関係を発展させるのを懸念している。とくに投資の約束を度々破る中国政府に不満を持つラトビア、エストニア、チェコ、スロバキアなどの国が「17+1」枠組みから離脱することを、中国側は回避したいと仏メディア、ラジオ・フランス・アンテルナショナルが報じた。

(翻訳編集・叶子)

関連記事
訪日中のランズベルギス・リトアニア外相は6日、松野博一内閣官房長官や鈴木貴子外務副大臣らと会談した。ロシアのウ […]
22カ国の議会と200あまりの議員からなる対中強硬派国際議連「対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)」の英国 […]
[台北 15日 ロイター] - 台湾外交部(外務省)は15日、中国がリトアニアに差別的な貿易措置を取ったとして欧州連合(EU)が世界貿易機関(WTO)に提訴した問題で、EUを支援するため、台湾が米豪とともに協議に参加したことを明らかにした。 EUの欧州委員会は先月、中国がリトアニアに対し貿易面で差別的措置を取り、EU単一市場の保全を脅かしているとしてWTOに提訴した。 中国は、台湾が「台湾」の名を
リトアニアのランズベルギス外相は10日、一時的な物価や電気料金の上昇は考えられるが権威主義の中露への依存からは脱却すべきだと語った。また中露がもたらす密接な課題に対処するため世界規模の協力が必要だとした。訪問先のカナダの
豪州を訪問中のリトアニアのランズベルギス外相は9日、威圧行為を強める中国共産党を「ルールに基づく国際秩序を破壊する者」と表現した。この課題に戦略的に対処するため、民主主義的価値を共有する国々の団結を訴えた。両国は中国共産