災害出動は年200回…日本、自衛官らのメンタルヘルス支援強化
日本の防衛省は職員および自衛官のメンタルヘルスに焦点を当てて、災害対応への派遣に伴う心的外傷後ストレスを軽減するための措置を構築しようとしている。
東京近郊に所在する明海大学国際関係学科の小谷哲夫教授は、米太平洋司令部が運営するメディア「インド・パシフィック・ディフェンス・フォーラム」に対し、自国の防衛関係者の災害対策活動への貢献は人命救助や財産保護に不可欠であると述べた。自衛隊に対する国民の尊敬を集めた、6,000人以上の犠牲者が発生した1995年1月に発生した神戸地域の地震への派遣以降、自衛隊は毎年約200件もの派遣をしている。
「最近の世論調査によると、日本の一般市民の90%が自衛隊が日本で最も信頼性が高く、信頼できる政府組織であると考えている」と小谷氏は述べた。
しかし、日本防衛医科大学校で精神医学と産業公衆衛生学を専門とする長峰正則教授が率いる研究チームによると、これらの派遣は関係者のメンタルヘルスにも影響を及ぼす可能性がある。
このような作戦としては最大規模であった2011年に発生した東日本大震災に出動した10万人以上の自衛官の場合、被災地で3か月以上過ごしたり、被災地から帰還後3ヶ月以上勤務時間が長時間に渡ったりした場合、心的外傷後ストレス障害を発症するリスクが60%から70%高くなった。
災害の多い日本ではこのような派遣はこれからも継続される可能性が高いことから、長峰教授の研究チームは、災害に対応する「人員に対して個人的な経験に対するニーズに特別な注意を払う」ことを提言した。
防衛省が2021年7月に発表した日本の最新の防衛白書では、精神衛生企画官や他の専門家による部隊指揮官への訓練を含む、災害展開に伴うメンタルヘルス上の問題への取り組みが概説されている。さらに、「日本の防衛2021」と題された白書では、「派遣終了直後」に職員に対する「継続的なメンタルヘルスチェック」が実施されていると指摘している。
防衛省によると、防衛省の職員および自衛官全員に対してメンタルヘルスに関する相談を24時間体制で提供しており、人員が上司に相談するレベルから精神鑑定まで6レベル提供されている。防衛省は声明の中で、「困難な状況において他者に頼ることは弱点ではなく強みである」と指摘し、必要に応じて支援を得ることを奨励した。
さらに、メンタルリハビリテーション科を併設する東京都内の自衛隊中央病院からも支援を受けることができる。同病院によると、同科は「自衛官の惨事ストレス障害からの回復支援や、自衛官、防衛省職員の復職支援、精神的不調の再発防止支援を提供」している。
(Indo-Pacific Defence Forum)