2020年6月30日、ニューデリーで行われた中国共産党機関紙「環球時報」に対するデモで、中国製アプリの削除や中国製品の使用停止を市民に求めるジャーナリスト (Prakash Singh/AFP via Getty Images)

インド、中国のソフトパワー活用は「警鐘のサイン」=報告書

インドに拠点を置くシンクタンク、ロー・アンド・ソサエティ・アライアンス(LSA)は3日、インドにおける中国の広範にわたる浸透工作を明らかにした報告書を発表した。エンターテインメントから学術分野まで、インドのさまざまな業界に浸透している中国の諜報機関や政府機関が採用している主要な戦術が記されている。

同報告によると、エンターテインメント分野への戦略的投資から、孔子学院を通じたプロパガンダの普及まで、中国はあらゆる手段を用いてインドの経済・社会に進出しているという。

第二次世界大戦後の数年間、中国共産党は、インドにおける影響力を拡大するため、マルクス主義的な傾向を持つジャーナリストやその他の組織のメンバーを利用してきたと報告書は指摘した。

さらに報告書は、中国はインドの技術に精通した若者、オピニオンメーカーや知識人を標的にしてきたことは、インドの将来を標的にしてきたことだとし、「経済的・戦略的な側面と合わせて十分に注意する必要がある」と述べた。

LSAのN.C.ビピンドラ会長は、「中国共産党は、民主主義国家の友好国になることは不可能であり、自国の台頭を妨げると判断した国の安全保障を脅かすために、あらゆる行動をとるだろう」と警鐘をならした。

また報告書は、中国共産党がインドの政治システムに与えている影響にも触れた。中国共産党から資金提供を受けているインド共産党マルクス主義派(CPI-M)は、インド政府の対中外交政策に「積極的に疑問を呈し」、インドが米国に屈していると非難している。さらに、同政党は中共ウイルス(新型コロナウイルス)に対する責任追及から中国共産党を擁護しているという。

ジュネーブの国連チベット事務局担当者カルデン・ツォモ氏は、「中国共産党は、プロパガンダとデマの戦術を熟知している」と指摘し、「中国に対抗するためには、すべての関係者が一丸となって努力することが、これまで以上に重要だ」と述べた。

中印国境紛争が勃発した2020年5月以降、インドは中国に対して警戒を強めている。2020年6月の調査では、インド人の97%が「中国製品を買わない」と回答。2020年8月の「国民の気分(mood of the nation)」調査では、64%のインド人が中国を信用していないことが明らかになった。

(翻訳編集・山中蓮夏)

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