2019年10月にジャカルタで開催された国軍創設74周年記念式典で部隊の視察を行う、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領(AFP/GETTY)

インドネシア、軍備更新を加速 就役40年の潜水艦死亡事故を受けて

アナリストや政府関係者によると、インドネシアの国防近代化は広範な資産在庫のアップグレードを目的とした取り組みから、能力維持を優先する戦略的アプローチへと進化している。

政府関係者によると、フリゲート艦や戦闘機などの大型の資産は、同国のミニマム・エッセンシャル・フォース(MEF)計画書の第3および最終段階までに予定通りに調達され、それ以降は新しいアプローチが指針となるという。

シンガポールのユソフ・イシャク研究所(Yusof Ishak Institute)の国防アナリストであるエヴァン・ラクスマナ(Evan Laksmana)氏は、「国防省とサービス本部の間ではMEFに代わる基本的な新しいモデルをどのように推進していくかについて継続的な会話が行われている」とフォーラムに対して述べた。

彼はシステムの交換またはアップグレードが最優先であり、その次に人道支援や災害からの救援および海賊や不法漁業、国境違反などの対応のための運用要求を満たすための能力強化がくると話した。

インドネシアのジョコ・ウィドド(Joko Widodo)大統領が近代化へのアプローチを推進している。インドネシアのジャカルタに拠点を置くオンラインニュースサービスであるテンポ(Tempo)は、ウィドド大統領が2020年後半に「総合的な防衛能力」を提供するための25カ年マスタープランを準備するようプラボウォ・スビアント(Prabowo Subianto)国防相に命じたと報じた。

 同国の国防予算は増加傾向にあり、2021年には「最大予算割り当て」である約9500億円相当(95億米ドル)に達しているが、現在の調達スケジュールを達成するためには外国からの融資が必要であるとテンポは報じている。

防衛ニュースサイト「ジェーンズ(Janes)」によると、インドネシア空軍は今後4年間でダッソー・ラファールとボーイングF -15EXアドバンスド・イーグル多用途戦闘機をそれぞれ36機、ロッキード・マーティンC -130Jスーパーハーキュリーズ輸送機を15機およびエアバスA330空中給油機を2機を購入する予定である。

いっぽう、インドネシア海軍は2021年6月にイタリアから8隻のフリゲート艦を購入する予定であると発表した。また、海軍はさらに209型ナーガパーシャ級潜水艦を3隻を購入する契約を韓国と結んでいる。

ラクスマナ氏はインドネシアが老朽化した防衛設備を交換する必要性は、2021年4月の訓練航海中に就役40年目のKRIナンガラ級潜水艦が機械的故障により沈没し、53人の乗組員全員が死亡した悲劇により示されたと語った。

ラクスマナ氏は新しいマスタープランにはインドネシアの島々と水路を近隣諸国と協力してパトロールするための既存のプログラムの予算が含まれることを期待している。

そのようなプログラムには、インドネシア、マレーシアおよびフィリピンの3カ国によるINDOMALPHI空中・海上パトロールや、インドネシア、マレーシア、シンガポールおよびタイの4カ国による空中・海上パトロールと情報を共有するマラッカ海峡パトロール枠組み、そしてインドネシア、マレーシアおよびフィリピンが締結したスールー海域のテロを海上・空中パトロールで緩和するための三国間協力協定などが含まれる。

ラクスマナ氏は、「このような小規模安全保障協力は理にかなっている。脅威はそこにある。国家にとって致命的な戦略的脅威ではないものの、隣国と共有する日常的な運用上の懸念事項だ」と述べている。

(Indo-Pacific Defence Forum)

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