血糖アラート犬(糖尿病警報犬)という、重要な任務をもつ犬がいます(Kostiantyn Postumitenko / PIXTA)

ご存じですか「血糖アラート犬」海外では活躍しています

糖尿病は、大きく1型と2型に分けられ、日本では糖尿病患者の95%が2型であると言われています。

1型の患者は、割合としては少数ですが、2型の場合に行われる食事療法や運動療法が全く効かないことから、どうしても対処療法に限定される難しさがあります。

血糖アラートとは、1型糖尿病をもつ患者のそばにいつも待機して、その体臭の変化を鋭敏に察知することにより、飼い主、いや正確には「パートナー」と呼ぶべき患者さんに「血糖値が下がって(上がって)いますよ!」と教えてくれる犬のことです。

患者さんはすぐに、低血糖ならば糖分補給、高血糖なら自分でインスリン注射を打つなどの対応をとります。これに気づかないでいると、低血糖、高血糖、いずれの場合も意識を失って倒れてしまうのです。

血糖アラート犬は、主として低血糖のほうを多く感知するそうですが、血糖の変化を感知できるようになるまでは、犬の素質の良さに加えて、厳格で根気づよい訓練が不可欠です。

ここ、米イリノイ州にも、1型糖尿病をもつ29歳の女性のために、厳しい訓練を経て血糖アラート犬になった犬がいます。女性の名前はサム・ストッキング。犬は男の子で、名前はコーリーです。

サムの1型糖尿病は、子供の頃からのものです。2型ではないので、決して肥満や不適切な食習慣が招いたものではありません。

サムは、子供の頃から自分で指先を刺して血糖値測定をしてきましたが、突然の血糖値の変化が起きた場合、自分でも気がつかないことをいつも心配していなければなりませんでした。

サムは、数年前に一時期住んだことのあるドイツで、血糖アラート犬というものがあることを知りました。帰国後、自分が飼っていた愛犬であるコーリーに専門の訓練を施して、血糖アラート犬にすることができないだろうかと考えました。

サムは、自分の古いTシャツをつかって、血糖値が低いときの体臭のサンプルを犬が記憶するよう訓練しました。しかし、これは非常に長い時間がかかる訓練でした。

「コーリーは、6カ月の訓練を積んで、初めてアラートを発しました。それから約1年半、私のために本当に身を挺して、さまざまな環境のなかでもアラートを出してくれたのです」

サムによると、コーリーはサムが低血糖でも、高血糖でも、それぞれの反応を示すと言います。

「私の血糖値が低いとき、コーリーは鼻で私の足をひっきりなしに突いて、教えようとします。その後、私に飲ませるために、果汁のペットボトルをくわえて持ってくるのです。私の血糖値が高いとき、コーリーは地面をぐるぐる回ります」

パートナーが就寝中でも、コーリーは「自分の任務」を怠りません。もしも夜中に血糖値の変化があれば、ベッドに飛び乗って、寝ているサムの顔をなめて起こし、アラートを発するのです。

サムは、いつも懸命に務めて自分の健康を守ってくれるコーリーに「Good boy!」の賛辞を連呼しながら、ごほうびのチキンを与えています。

(翻訳編集・鳥飼聡)

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