豪NSW州知事が辞任 捜査当局、元交際相手の中国疑惑を調査中
豪ニューサウスウェールズ州のグラディス・ベレジクリアン州知事は1日、辞任した。「親密な関係」にあった男性の元州議に便宜供与を図った疑惑が浮上し、州当局が責任を追及する構えを見せている。ベレジクリアン氏は、当局による捜査が長引く可能性があるため、辞任を決定したと説明した。
同州の汚職捜査機関、廉政公署(ICAC)は、2012~18年にかけて、ベレジクリアン氏が州当局者として複数の団体に助成金を給付した際、国民の信頼を損なう行為があったかを調査している。ベレジクリアン氏は当時、元州議のダリル・マグワイア(Daryl Maguire)氏と交際関係にあった。助成金はマグワイア氏の選挙区にある団体にも当てられた。マグワイア氏は、ICACの主要捜査対象となっている。
豪紙オーストラリアンの昨年10月15日の報道によると、マグワイア氏はICACの14日の公聴会で、過去に州議会の事務室で、中国人の入国ビザの不法取得を仲介して現金を複数回受け取ったと認めた。
自由党所属のマグワイア氏は、州議員を務めながら、民間企業G8wayinternational PtyLtdの取締役であることを隠していた。同州の法律では、州議員や州政府高官は利益相反を避ける目的で、副業の内容を公表することを義務付けている。
ICACは、州議会アジア太平洋友好委員会の委員長であるマグワイア氏が、中国の太平洋諸島への事業進出を後押しして私益を得たと批判した。
同氏は2018年、地元の不動産取引に汚職行為があったとICACに指摘され、議員辞職した。
ICACは現在、2012~18年までの間に同氏が関わった取引を捜査している。これらの取引は「ほぼ中国と関係している」という。
ベレジクリアン氏は昨年10月、ICACに対して2015年以降、マグワイア氏と密かに「親密な関係」になったことを明かした。
昨年10月中旬の記者会見で、ベレジクリアン氏は、マグワイア氏が「多くの人を騙した」と非難し、自身はマグワイア氏の不正行為に関わっていないと強調した。
2人は2020年9月に恋人関係を解消したという。
ベレジクリアン氏は、2017年、州知事に就任した。この以前、同州の財務と労使関係担当長官などを務めていた。
いっぽう、ICACはウェブサイト上で声明を発表し、ベレジクリアン氏への捜査はわマグワイア氏に対する捜査「ケッペル作戦(Operation Keppel)」の一部であるとの認識を示し、10月18日に新たに公聴会を開くとした。
(翻訳編集・張哲)