(antstang / PIXTA)

「ウイルスに勝つために」善良な心で免疫力アップ

緊急事態宣言は解除されたものの、コロナ禍が去ったわけではない我が日本。

確かに、新規感染者数は減少しているように見えますが、「第6波は起こらない」とは、たとえ専門家でも断言できないのが現状です。ましてや、政府も、地方自治体も、国民はいかにすべきかのメッセージを明確には出せないでいます。

 

教訓は「活かしてこそ意味がある」

7日夜、東京地方を震度5強の地震が襲いました。東京に限って言えば、さいわい10年前の大震災ほどの人的被害は出なかったものの、都民や東京へ通勤する人々に「忘れたか!」の強烈な警策(けいさく)を与えました。

10年前の3・11では、東京都内でも複数の犠牲者が出ました。東北地方の甚大な被害が続々と伝えられるのは、その後からですが、発災当日の夜は、都内の交通機関が完全にマヒし、大量の「帰宅困難者」が出ました。

私たちは、そこで数々の教訓を得たはずだったのですが、10年を経た今、それが十分活かされたかというと、先日の様子を見る限り「忘れたか」だったように思うのです。

昨年から今年にかけては、新型コロナウイルス(中共ウイルス)が、じわじわと人の首を絞めるように襲いかかりました。

総じて「ワクチン頼み」であった日本政府の施策を、ここで全否定するつもりはありません。しかし、感染力のすさまじいデルタ変異株の前では、ワクチンの有効期間は数カ月と存外短く、たとえ2回接種しても感染するケースが多々あることが判明し、いつしかワクチン接種の意味が「重症化は避けられる」に変えられていたことを、後で私たちは知るのです。

 

「自分の身は、自分で守る」で社会を守る

 

以下、ウイルス感染症研究の専門家である董宇紅博士の口述をもとに、中共ウイルスから自分の身を守る「具体的な方法」について、日本の皆様にお伝えします。

結論を先に申しますと、ワクチン接種以前に、誰でも実行可能なこととして「自己の免疫力を向上させる」「そのために、善良な心をもった人間になる」という2点です。

日本のみならず、世界各国で続くコロナ禍は2年に及び、感染を警戒する精神的負担に加えて、経済への打撃による失職や廃業、大幅な減収などで、人々の心は打ちひしがれています。

そのような世界各国の世相をふまえて、心理学の学術誌『Perspectives on Psychological Science』に発表されたある研究結果は、「孤独やうつ病、ストレスなどのマイナスの感情が免疫力を弱め、ワクチンの効力を低下させている」としています。

この状況を、どう変えたらよいのでしょうか。米ニューヨークにあるマウントサイナイ病院の精神科医師・イサク博士は、「善良な心をもち、善行を多くすることは、健康を得るための効果的な方法です」と提言します。

 

優しい心が「オキシントン」を増やす

 

善良さは、精神的な側面だけでなく、体がオキシトシンを多く分泌するという物質的側面も持っています。オキシトシンとは、「愛情ホルモン」とも呼ばれるもので、例えば母親が出産や授乳の過程で、赤ちゃんとの親密な関係を築くときに分泌されるホルモンです。

実際、普段の生活でも、男女を問わず、おだやかで優しい気持ちになると、体内でオキシトシンが分泌されます。

多くの研究により、人々が肯定的な思考を持ち、善行を行い、他人に優しく接し、他人と善意のコミュニケーションを行う時、血液中のオキシトシンの量が増えることが明らかになっています。

人が良いことをしているのを見た人は、自分も啓発されて、同じように良いことを行いたくなります。そう考えたときにも体内のオキシトシンが増えるのですが、それは集団相互作用の効果です。優しい心にもとづく善行は、それを拡大することで「社会」になり得るのです。

その原動力となるオキシトシンは、母子間の作用だけでなく、コロナで断ち切られた人間の関係を修復し、再生させる可能性を秘めています。それが達成される過程において、人は必ず、心身ともに健康になるのです。

 

免疫力アップで「コロナに勝つ」

 

実際、オキシトシンには人を治療する効能があり、精神を安定させることにより、体の不調を正常な状態に戻すのです。痛みの軽減、抑うつや不安の解消だけでなく、ウイルスや病原菌に対する免疫力を高める効果があることが、複数の研究で知られています。

しかも副作用がなく、治療費もかかりません。ただ提示を求められるのは、誰もがもっている「善良な心」だけなのです。

逆に、ストレス、不安、不機嫌などマイナスの感情をもつと、体はストレスホルモンであるコルチゾールを放出します。それは体にいつでも戦う準備をさせ、免疫システムを弱め、人体の老化を早めるのです。

オキシントンの効能をまとめると、以下の3点が挙げられます。

1、 免疫機能の強化

胸腺および骨髄の発達を促進し、免疫の監視能力を高め、免疫の恒常性を維持します。

2、 炎症の抑制

サイトカインの過剰分泌を抑制し、慢性炎症を軽減します。それによって抗ウイルス力を増強します。

3、 ストレスホルモンの分泌を抑制

ストレスが関連する免疫障害を抑制し、抗ウイルス力を高めます。

 

昨年のコロナ禍のなかで、人々はどう生きたか

 

誰でも実行可能な小さな善行や、他人に対する思いやりは、他人を助け、また自身を助けるとともに、ウイルスが社会にもたらしている重圧を軽減するだけでなく、人々の免疫力を高めることができるのです。

 

昨年、イタリアは感染の大流行が起きた国の一つですが、厳重なロックダウンのなか、人々はベランダで歌を歌い、声をかけて励まし合い、隣人に温もりを与えました。

多くの国では、人々がボランティアでグループを作り、高齢者のために食べ物を届けたり、自宅で孤立している人に電話をかけて、おしゃべりをしたりしています。連日奮闘する医療

関係者に、レストランの料理人が、おいしいお弁当をつくって励ましました。

人は、誰もが優しい心をもっているはずです。

しかし、コロナ禍のなかでの優しさは、その心をもって他者にはたらきかける実践を必要とします。

すでに指摘されているように、新型コロナウイルス(中共ウイルス)の最も恐るべき悪魔性は「人と人との関係を断ち切ってくること」にあります。

感染防止という意味では、今後も、マスク着用や「3密」を避けるなどの基本的注意は必要でしょう。しかし、それとは別に、人は人に優しく接し、自身がより「善良な人」になることが、ひいては社会全体の「大きな免疫力」となって、この国を人類の病禍から守ることになります。

昨年は、本当に苦しいなかを、皆で懸命に生きました。そこから得られる教訓があるとすれば、「ワクチン頼み」ばかりではない新たな再生への道を、私たちが進むことであろうと思います。

 

(口述・董宇紅/翻訳編集・鳥飼聡)

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